さよならと嗤う | ナノ
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別に、赤司にそう言われた訳じゃないし。そもそも、見てないから確信はない。

だけど、これはつまりそういう事だと思う。

残り数体まで減ったゾンビと、あからさまに変な動きをしているゾンビ。見た目も普通のゾンビが黒なら、こいつはうっすらと赤い気がする。

そしていつの間にか、姿が見えない赤司達。いくら、わたし達がゾンビと対峙していたからといって…何も言わずに離れるとは考えにくい。

そもそも、何かあれば大声で伝えそうなものだ。…いや、確かになんか赤司が言ってた様な気がしたんだけど…ま、ゾンビに集中してたし聞こえなかったよね。

って、なると…赤司達に何かあった可能性が高い。そして、この赤いゾンビの不可解な動き。

ふぅん…なるほど?
本格的に赤司達が危ないと予想。



「……おい、バカ共よく聞け」

「あ?」
「はい?」

「多分、今の赤司達はかなり危ない状態。で、この赤いゾンビだけど…多分、時間稼ぎしてる。意味がわかるな?」

「「………?」」

「つっかぇねぇな! 頭悪過ぎかよォ!! つまり、早くこいつ等を殺して赤司達を見付けないとヤバいって事だよ、バカ共が!!」



いちいち全部説明しないとわからないとか、どんだけバカなんだよ。面倒くせぇな、おい。

とりあえず、この赤いゾンビはある一定の距離まで近付かない限り…攻撃をして来ない上に、やたらと回避に専念してる様に見えるし。

それにちょいちょい、ゾンビが湧いてんだよね…こいつから。つまり、こいつも湧き場ゾンビって事だ。

……あぁ、クッソ面倒くせぇ。



「…わたしが、あの赤いゾンビを仕留めるから。あんた達は、周りの奴等をどうにかして」

「は? あいつは、最後に一気に叩いた方がいいんじゃないッスか?」

「ゾンビが増えてんの気付いてねぇのかよ、節穴。あいつからゾンビが湧いてんだよ」

「へぇ…どうりで減った様で減ってねぇ訳だ。つーか、あんた1人でイケんのかよ?」

「雑だし穴だらけだけど、さっきからあいつを守る様な動きしてんだよ。だから、こっちに来ない様にしてくれって言ってんだよ」

「あーなるほど。わかったッス」

「一気に仕留めるから、絶対に雑魚ゾンビを近付けさせんなよ」

「…わぁーったわぁった」



……、痛いのは嫌だし怪我するとあいつ等がうるさいから、本当ならこんな事はしたくない。ていうか、普通にわたしがする事じゃないよね。

正直、こいつ等を囮にしてわたしだけ逃げ出したいくらいには面倒臭い。

でも…まぁ、あのクソ女の思い通りになるのはもっと嫌だし? 好き勝手されるのも癪だから…しゃーねぇから、頑張ってやるよクソが。


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