さよならと嗤う | ナノ
08*(1/4)


…ふぅん、クローン…ねぇ?

しかもわたしかあいつがクローンって感じ? ていうか、あれがわたしと同じ遺伝子とか嘘でしょ。ていうか、全然似てないんだけど。むしろ、クローンとかいう時点で不快でしかないんだけど。



「なので、志波さんの事を教えて下さい」

「教えてって言われても、別にこのノートのまんま。親は遺伝子研究員で、事故で死んだって聞いてる。本当かどうかは、わたしも知らない」

「わたしはクローンじゃないとか言わないんですね」

「だって、証拠ないし。そもそも、親が死んだ時わたしまだ三歳とかだったし」

「このノートの主に覚えは?」

「…何度か研究室に行った様な気はするけど、全然覚えてない。三歳のガキから見たら大人なんて、親以外はみんな同じ様なもんでしょ」



正直、自分の記憶が信用出来ないし。自分がクローンじゃないって、ハッキリ言える証拠もないし。まぁ、普通にクローンではないと思うけどさ。

そもそも、こんな廃校知らないし。見た事もないし、体で覚えてるとかもないからマジで知らない場所だと思う。



「じゃあ、質問を変えますね。クローンは、なんの為にここに俺等を呼んだと思いますか?」

「それわたしに質問する必要あんの? 正直、よくわかんないけど…あの子の体を乗っ取るとかじゃん? 体奪うって言ってるし。で、他の奴等はおまけ」

「ふざけんな、巻き込んでんじゃねぇぞブス」

「うるせぇクソ眉毛、んなの知るか。そのメモの"あの子が欲しいと嘆くから"ってクローンが本物を欲しがってるって事じゃないの? で、あのゾンビ湧き人間は本物が誰かわからないから手当たり次第みたいな?」

「では、その人間ついては?」

「わたし達と同じでここに連れて来られて、体を奪われて情報とか気持ちとか奪われて、んで空っぽになった体をゾンビ湧きの道具にしたとか。それか、ただ単にクローンの味方をしてた人間とか」



正直、考え出したらキリがないよね。いくら重要な情報だとしても、そもそもの量が少ないし。こんなもん、いくらでも邪推出来るし。

ていうか、そもそも偽物が本物を喰いたいなら、関係ない人間を連れて来る意味がわからないし。どう考えても、邪魔になるじゃん。

それによりによって、こんな厄介な連中を連れて来るとかマジで頭ん中ババロアだと思う。仮になんかの理由があるとしても、わたしならこいつ等は絶対に連れて来たくないね。

絶対に失敗しそうだし。
ていうか、クソ面倒臭そう。



「自分がクローンじゃないと、思えるところとかってありますか?」

「あ? んなのねぇよクソが。まぁ、強いて言えば…わたしならお前等は絶対に呼ばない。殺すにしてもクソ面倒臭い」

「千夏がクローンやったら、せやろなぁ。自覚がない可能性もあるんやろうけど」

「つーか、クローンの可能性があるのは千夏とあの女だけじゃねぇけどな。こんな場所に連れて来れんだから、記憶操作くらい軽く出来るだろ」

「それな」



本当、それな。
だから余計に自分の記憶が信用出来ないんだよなぁ。

だけど、あの子に関してはそのノートが鍵が掛かっている箱の中にある時点でお察し。

真実だから隠してるんだろうし。だから、まぁ…多分8割くらいの確率で"あの子"はわたしの事だとは思う。

なお、クローンについては本人がクローンの自覚があるかなしで、もはや無限に可能性があるので今は判断しかねる。

ま、みんなにクローンの可能性が出て来ても…わたしの中ではあの女が1番怪しいですけどね。


prev / next

[ back to top ]