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目が覚めたら、目の前には見慣れた顔がわたしを見つめていた。
「あ、千夏おかえりー」
「戻って来たみたいだね」
「花宮ー、千夏が起きたぜー!!」
「それにしても、随分と寝ていたな」
「…ここどこ」
「まさかの霧崎の体育館ー」
なんでお前等が目の前にいるんだとか、まぁ色々と突っ込みたいのは山々だったけど…無事に帰って来れた事に安心した。
……夢、だったのかなぁ。
いや、でも…生々しくナイフを刺した時の感覚が残ってるんだよなぁ。それに、わたしはベッドで寝てたはずだから…こんな場所にいる時点で色々おかしい訳で。
そんな事を考えながら、ゆっくりと体を起こしていると…どこかに行っていたのか、真がわたしの前に座るとスマホを差し出した。
「起きんのおせぇんだよ。おら、今吉さんだ」
「うっさい。もしもし、千夏です」
「 " おぉ、よかった。体は大丈夫か? 怪我とか残っとらん? "」
「はい、大丈夫です」
「 " ほーか、ならよかった。それと、ありがとうな。よう、頑張ってくれたな " 」
あぁ、やっぱり夢じゃなかったんだなぁ…と改めて思った。まぁ…ある意味、夢って言ったら夢なのかもしれないけど、わたしの中では夢では片付けられないよなぁ、みたいな。
だけど、こうして今吉さんが無事な辺り他の連中も無事に帰って来てるんだろうと安心はした。
ていうか、なんで体育館? なんで制服? しかも御丁寧にスマホはポケットに入ってるし。もやは、意味がわからない。
そしてスマホを確認すると今吉さんからの着信な1件。とりあえず、確認で電話した感じかな。
「 " 千夏? 聞いとるかー? " 」
「え、聞いてませんでした。なんですか?」
「 " 大丈夫そうなら、会えへんか? ちゃんと顔見たいやん " 」
「いや、疲れたんで遠慮させていただきます。ていうか、ゆっくり寝たいんで」
「 " んー、まっ…そうやな。ほな、また落ち着いたら会おうや。せやから、ゆっくり休んでな " 」
「りょーかいです」
「 " それとウチの者も千夏に礼を言っとったで。ほんまにありがとうな " 」
「わかりましたから、もういいですって。じゃあ、真に代わりますよ」
今吉さんの返事を待たずに真にスマホを突き返し、ゆっくりと立ち上がり周りを見渡す。
うえー…本当に霧崎の体育館じゃん。見慣れた体育館じゃん。ていうか、帰って来た場所が体育館とか悪意有り過ぎてキレそう。
とりあえず、帰る。
わたしは、疲れた。
なんかもう…まじで疲れた。
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