さよならと嗤う | ナノ
03*(1/4)


包帯に滲む血を見て真と言い合いになったが、"報告が先でしょ"と健ちゃんが東側での探索の成果を話し出した。



「へぇ、で…健太郎的には?」

「…まだやめといた方がいいかな。なんか新顔いるし」

「???」

「ふはっ、わかった。とりあえず、そこのバカの手当てしとけ」



なんだかよくわからないけど、健ちゃん達は何か重要な物を見付けたらしいが…報告しないって事になったっぽい。武器の事は、言うみたいだけど。

そして詳しく話してくれる気がない真は、スタスタと赤司と今吉さんの元へ向かった。

ていうか、超次元会話してんじゃねぇよ。ちゃんとわたしにもわかる様に話せや…と健ちゃんを睨むが余裕の表情。

…このやろう。



「ほら、行くよ」

「いや、手当て」
「するよ」

「おい、被」
「せるよ」

「…キレそう」

「短気過ぎない?」



うるさいよ。
腕は痛いし、話はわからないしで苛々すんのは仕方がないでしょうが。

そんな事を話ながら、霧崎スペース(わたしが寝てた場所)に向かった。そして健ちゃんが手当ての準備をしていると、ゾンビ達を倒し終えたのか一哉達も戻って来た。

あの数相手に無傷かよ、お前等強過ぎかよ。

ていうか、健ちゃんの手当てが雑過ぎてクソ痛いんだけど。なんなの? もしかして日頃の恨み晴らしてんの? 寝てる時におでこに落書きする事まだ怒ってんの?



「たっだいまー」

「俺は、ドロップ品を花宮に渡してくる」

「ドロップとかすんのかよ、ゲームかよ」

「なんか千夏が元気になってて草」

「もう頭冷えたから、ばっちりだから。邪魔にだけはならない様にとか思ってたけど、いつも通り邪魔しに行くから任せて」

「やだ、千夏が可愛い事言ってるかと思ったらただのクズだった」



いや、一哉にクズとか言われたくないし。ていうか、そんな事はもはやどうでもいい。そのバットをわたしに寄越せ。

この苛々をゾンビにぶつけてやりたい。というか、元はといえばゾンビが追って来たせいで怪我したんだから、ゾンビがなんもかんも悪い。絶対にぶっ殺してやる。

そんな事を考えながら、健ちゃんの手当てを受けているとフっと影が落ちた。



「あ、あのぅ…大丈夫ですか?」

「……」

「ぶっ、ちょ…千夏、顔っ!」

「俺等になんか用。ていうか、あんた誰」

「えっ…わ、私っ…誠凜1年の姫野 愛です。愛って呼んでください!!」

「…原、パス」

「えぇ〜? 俺は原一哉よろ〜」



え、なんか健ちゃんが凄い警戒してて怖いんだけど。そして、一哉がチャラいのは今に始まった事じゃないから、問題ない。

しかし問題はこの得体の知れない女だ。は? 探索前にはいなかったよね? 女は、誠凜の監督と桐皇のマネージャーだけでしょ。

こいつ、どっから湧いて出てきやがった。


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