さよならと嗤う | ナノ
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聞き慣れた声が医務室にまで聞こえて来て、思わず古橋と顔を見合わせ…すぐに起き上がり医務室から飛び出す。

そしてそこには、血塗れの原と苦痛に顔を歪ませている健太郎を支えているザキがいた。

どうやら、原は意識がない様でザキが原を床に寝かせると必死に原に呼び掛けている。



「…古橋、急いで回復薬持って来い」

「あぁ…わかった、すぐに持って来る」



まだ痛む体に鞭を打ち、急いで原達の元へ向かう。

既に今吉さんや赤司が色々と指示を飛ばしているが、余りの惨状に動けないで呆然としてる面々に舌打ちをする。

どこまで、役立たずなんだよ。

そしてやっと原達の元へ着くと、力なく横たわり酷く荒い呼吸を繰り返す健太郎が俺のズボンを掴んだ。



「花宮っ…これ、千夏に」

「っ…!!」

「たぶ、ん…治るから」

「花宮! 持って来たぞ!!」

「健太郎、すぐ飲め」

「で、も…」

「いいから早くしろ、次は原に飲ませる。おい、古橋…これ毒味してから千夏に飲ませろ」

「…わかった。原達を頼む」



健太郎から受け取った薄青い液体が入った瓶を古橋に渡し、健太郎に回復薬を無理矢理飲ませる。

回復薬を自分に使わなくて正解だった。ここで健太郎と原に死なれたら困るからな。

そして健太郎が回復薬を飲み込んだのを確認し、すぐに原の元へ向かう。嫌でも鼻をつく、鉄の臭いと原から広がる赤い液体に思わず、顔を顰める。



「は、花宮っ…! 原が、全然起きねぇんだよ!!」

「……弱いがまだ脈はある、すぐに回復薬を飲ませればっ…」

「の、飲まねぇじゃん! どうすんだよ…」

「うるせぇ、いいから傷口押さえとけ。血流し過ぎなんだよ!!」



意識がない原は、まるで回復薬を飲み込まず…鼻を摘まんでも回復薬を吐き出しちまう。

さすがにやべぇな。
あぁ…クソ、後でまじで殴るからな…原ァ!!

意を決して回復薬を自分の口に含もうとした時だった、バッと俺の手から回復薬が奪われたかと思ったら、目の前では原に何の躊躇なく口移しで回復薬を飲ませている千夏の姿があった。



「お、まえっ…」

「んっ…んん、…はい、飲んだ」

「……っん、は? んっ…な、にこれ?」

「おはよー。なに勝手に死に掛けてんの? 勝手に死ぬとか許さないから、ね…ばか」

「…はっ、まじ…誰のせい、だっつーの…あぁ、間に合ってよかったぁ…」



そして回復薬のお陰ですぐに原が目を覚ました。その瞬間、千夏な声が震え…原に覆い被さる様にして蹲り嗚咽を漏らした。

そんな千夏の頭を乱暴に原が撫でると、はぁ…と大きな溜め息を吐いた。


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