さよならと嗤う | ナノ
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俺が千夏を連れて来た事に、赤司が不思議そうに頭を傾げたが…すぐにふっと笑った。



「わかりました。大丈夫ですよ」

「ふはっ、察しが良くて助かる」

「可愛い志波さんを見せて貰ったので。ふふ、本当に別人みたいですね」

「それお前がいうのかよ。それと、武器庫内をよく探索させろ。他に何かあるかもしれねぇからな」

「わかりました。霧崎の方を借りても?」

「好きにしろ。何かあれば誰か寄越せ」



そして健太郎にアイコンタクトで後は任せると伝え、ステージから降りて霧崎スペースに戻る。

ついでに手榴弾の爆発した場所を軽く確認するが、特に床に傷も付いていない。体育館だから威力が殺されているのか…いや、あの女のあの反応的にそれはないか。

なら、俺等には害がないって感じか? 音は普通にしたが、爆風は全く感じなかったからな。…逆に俺等に害のある者にしか反応しない可能性もあるな。

ま、これは外で試すしか無さそうか。さすがにあの女に向かって銃を突き付けたりしたら、誠凛がうるせぇだろうしな。

手っ取り早く、ナイフで指を軽く切って見るのも有りか。それで傷付かなかったら、誤射をしてもある程度は安心出来るしな。まぁ、そもそも銃を使うかはまだわからないが。

そんな事を考えながら、ゆっくりとマットに千夏を下ろそうとしたが、まぁ離す訳ねぇよな。



「っ…ん〜、まこと〜」

「んだよ、寝てろよ」

「…ん〜、どこ…いくの」

「どこも行かねぇから寝てろ」

「ん…わかった」



ジト目で俺のYシャツを掴む千夏に溜め息を吐きつつ、すぐに近くに腰を下ろすとズリズリと千夏が近寄って来て、腰に張り付いた。

はぁ…もう突っ込む気にもならねぇが、毎回毎回…起きてから首が痛いだの体が痛いだの言うんだから学習しろ。

仕方なく千夏の腕を解き、頭を膝に乗せる。最初は嫌だとグズっていたが、頭を撫でている内に素直に寝た。


こいつも疲れてんだろうな。
そもそも、千夏がこうなる時は大体は過度なストレスを感じた時だしな。まぁ、今回のは単純に疲れきってんだろうけど。

それと両親の事、だろうな。

色々と思うところはあるだろうが、親が死んで小さい頃から大人に気を遣って自分を殺して生きてきたこいつにとって、かなりの地雷だ。

もちろん千夏自身もかなり歪んじゃあいるが、俺等なんかよりは根が純粋だからな。

はぁ…いつもこうなら可愛いん…いや、普通に気持ち悪いわ。そもそも、起きたらいつも通りだろうしな。

とりあえず、お前がいなきゃここを出たって意味がねぇんだから…勝手に死ぬのだけはやめろよ。そもそも、お前が死んだらゲームオーバーまであるんだから、もう少し自分が重要人物だって事を自覚しろ。



(お、なんか鍵みっけー!)
(俺も鍵を見付けたぜ)
(え、マジで?)
(ここにもあったけど)
(なるほど、鍵が3本ですか)
(でも今までの鍵と見た目違う感じー)
(…しかも3本だろ? 怪しくねぇか?)
(もしかして体育館の鍵じゃない?)
(は? 体育館?)
(あー、な〜る。扉1つしか開かないもんね)
(なら、試して見ましょう)
(開けたら死ぬとねぇよな?)
(まさか、大丈夫でしょ)

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