さよならと嗤う | ナノ
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とりあえず、俺と赤司が中を見に行く事になり…仕方なく扉の中に入る。中は、電気もないのに何故か明るかった。

そして中にあった物に、あぁ…なるほどと妙に納得した。



「武器庫ってところか」

「みたいですね。最初に見付けていれば、もっと楽が出来たでしょうが…」

「ま、今更だろ。見付けられただけ儲けもんだ」

「そうですね。色々とあるみたいですし、有効に使いましょう」

「とりあえず、説明しに戻るぞ」



そして全員に武器庫の説明をしてから、原達が武器の確認をする事になった。もちろん、扱い慣れてる訳じゃねぇが…器用に使いそうという理由とやりたいと本人が喜んで立候補したからだ。

ちなみに千夏は、健太郎に抱っこされながらステージ端で寝ている。それを奇妙な目で見ている奴等もいたが、健太郎は余裕の無視だ。

そして適当に赤司が選んで来た銃を原とザキが受け取り、興味深そうに確認している。



「で、ここで撃っていいの?」

「跳弾はしないと思いますし、あっちに向かって撃ってみて貰っていいですか?」

「りょーかい。セーフティ外すよ」
「こっちはグリップセーフティだぜ」

「え、セーフティってなんスか?」

「え、そっから説明要るの? 面倒くさっ…セーフティは暴発防止の安全装置で、解除しないと弾が出ないの」



普通は、知らない奴の方が多いと思うがな。ま、知ってる奴は知ってるだろうが。つーか、わざわざセーフティがあるなんて随分とリアルだな。ま、こんな非現実的な場所に閉じ込められてる時点でリアルもクソもねぇか。

そしてセーフティを外し、赤司に言われた場所に向かって銃を向けると、原はなんの躊躇もなく引き金を引いた。

響き渡る銃声。
反動はそれ程ない様でヘラりと笑う原に、ザキが続けて発砲する。



「んー、軽くね? 反動とかほぼないんだけどー」

「つーか、壁に穴も空いてねぇし。どうなってんだ?」

「ねぇ、花宮〜これ撃ち切ってみていい? で、壁見ててよ」

「チッ…さっさとしろ」

「いえーい! じゃ、いっくよー」



もはや、驚いて言葉を失っている周りを無視して好き放題に検証している原に溜め息を吐く。だが、さすがに壁に穴が空かないのはおかしいからな…確認はしねぇと。

そしてまた原が銃を構え、躊躇なく引き金を引いて行く。

が、おかしい。
原もすぐに気付いた様で銃を下ろして、銃を不思議そうに見つめている。



「ねぇ、これ弾が無限っぽいんだけど。こんだけ撃って弾薬切れないとか有り得ないっしょ」

「だろうな。で、壁については見ての通り傷ひとつねぇよ。壁に当たった瞬間に弾けて消えたって感じか」

「なにそれー。ちゃんとゾンビ殺せんの?」

「体育内では、使えないという可能性は? そもそも、この体育館にはゾンビも近寄りませんし」

「体育館はゲームで言うとセーフルームっぽいしねぇ。ま、なら探索の時に確認するしかないんじゃね?」



それはそれで面倒くせぇな。
さすがにゾンビに銃が効かないって事は、ねぇとは思うが。

とりあえず、次の探索で確かめるしかねぇか。


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