さよならと嗤う | ナノ
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思ってた以上に誠凛の連中が使えなくて、小さな鍵を使ってノートの紙片を手に入れてすぐに体育館へ戻って来た。

ちなみに今回、箱があったのはあの女が起きたと言っていた1ーEの教室。ダメ元で来てみたが、案外意味はあったらしい。

で、時計を見れば…どう見ても時間がわかるもんじゃねぇ。まず、時計として必要な針がねぇしな。つまりは、あいつが言ってた時間は嘘の可能性が高い。まぁ、わかってたが。

それよりも…新しく手に入った研究者のノートが問題だ。


《○月×日
どうしても人間らしさが足りない。やはり、あの子の様にはならないのか。試しに他の人間の知識を植えてみた。人間らしくはなった気がする。だが、まだ足りない》

《○月×日
僕に愛されて可愛く育った。だが、ただ可愛いだけの人形にしか見えなくなってしまった。次第に僕の心は冷めていく。あの子はこんな事は言わない、こんなにも愛に飢えている訳がない。こんなのは失敗作だ》


…不満爆発かよ。
自分で作っといて思い通りにならないからと、失敗作呼ばわりか。ま、事実クローンの時点で失敗作だろ。どっちにせよ、本物(オリジナル)には勝てる訳がねぇんだよ。

それよりも、このノートを見せろと騒がしかった誠凛の奴等に、うるせぇから仕方なく見せてやったら…まぁ、面白いくらい顔を青くさせていた。

やっと、まともにクローンがいるかもって思い始めたか? ま、だからと言ってまともにゾンビの相手も出来ねぇ奴等は、探索に出るのはやめて欲しいがな。

足手纏いもいいとこだぜ。
ま、大体は原と健太郎が仕留めたが…それなりに固くて簡単にとはいかなかったが。


そして今吉さんと更にノートについて話をしていると、勢いよく体育館の扉が開いたかと思ったら…黄瀬があの女と赤司を押し入れると、その後に血塗れの紫原を青峰が床に寝かせ、すぐに体育館から飛び出して行った。

………。

すぐに赤司の元へ向かうと、バッと顔を上げた赤司はいつもの様な余裕はなく酷く動揺してる様だった。



「…おい、千夏はっ」

「花宮さん! すぐに戦える人を連れて2階へ! 志波さんが1人でゾンビを食い止めっ…」

「原ァ! 古橋ィ!!」



赤司がこんだけボロボロで、まともに歩く事さえ出来なさそうな紫原…そしてすぐに体育館を出て行った青峰と黄瀬。そして無傷のこの女と…姿の見えない千夏。

その時点で嫌な予感はしてた。

赤司の言葉を最後まで聞かずに、すぐに比較的怪我をしていない原と古橋に声を掛け…体育館から飛び出した。

…クッソ、あのブス何してんだ。


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