さよならと嗤う | ナノ
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…不味いな。
紫原の体力が限界だ。

かなり血も流してるだろうし、ずっと緊張状態だったから、わたし達が来た事で一気に反動が来たみたいで、教室から出てすぐに膝を付いてしまった。



「紫原っ…!!」

「ごめっ…赤ちん、もっ…動け、ないっ…」

「…紫原、あんたはよく頑張った。だから、大丈夫」

「志波さんっ…まさか」

「さすが察しがいいね。青峰ぇ!! 紫原に肩貸せ! 黄瀬は赤司と姫野さんと先行。わたしが絶対に後追わせないから…最短ルートで体育館に向かえよ」

「っ…無茶です!」

「うっせぇな! わたしだってこんな無茶したくねぇよ。だけど、情報持ったまま全滅するくらいなら…お前達に後は任せて、体くらい張ってやるよ。それに真達が絶対にどうにかしてくれるから」



無茶だとわたしの腕を掴む赤司にポケットから鍵を取り出して、渡す。

これが1番、全員で生存出来る可能性が高いんだから仕方ないだろ。まだ赤司は動けるが、無駄に戦闘に参加させる訳にはいかない。情報を目で見て貰わなくちゃならないのと、この女が赤司を殺そうとしてるのはわかりきってるから。

でも、まぁ…赤司も余裕で戦えるとは思うから、ついでにハサミを赤司に渡す。

で、紫原からバットを貰って肩をトントンと叩く。



「っ…志波さん、無事に戻って来て下さいね」

「は? わたしを誰だと思ってんの? お前等がいない方が全力出せんだから余裕っだってーの」

「おい、あんた」

「なんだよ、早く紫原を連れてけよ」

「そのTシャツ返せよな」

「うっせぇな! 返すよ! 黄瀬、赤司の指示に従って走れ!!」

「っ、わかったッス!!」



そしてわたしを気にしつつ、走り出す彼等を見送りつつ…ゆっくりと振り返る。

はぁ…まーた、数増やしやがったなあのクソ女。絶対に死んでやらねぇからな、クソが。

赤司達とある一定距離を離せたら、わたしも走って逃げる。全滅とかしてたら、わたしがもたない。ていうか、こんな数を1人でどうにか出来る訳ねぇだろクソが。

バットを強く握り、ホームランを打つ要領でゾンビの頭を吹っ飛ばす。そしてゾンビからのナイフ攻撃を避けつつ、ナイフ目掛けてバットを振り抜く。

リーチが長いって偉大。

ナイフが無ければ少し固いだけのクソ雑魚ゾンビだから、余裕余裕。後は、わたしの体力がどこまで持つかが問題。

赤いゾンビの時にかなり消耗したし、怪我もしたからね。正直、あんまりよろしくはない。


あーあ…、また真と一哉にキレられそうだなぁ。でも、死な安っしょ?

そんな事を考えながら、ゾンビの数を減らしながら体育館へと向かった。


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