さよならと嗤う | ナノ
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あぁ…クッソ消耗した。
なんとか残りのゾンビも全滅させたが、こちらの消耗もかなり激しい。

赤いゾンビからドロップした鍵をスカートのポケットに突っ込み、今更羞恥心とか感じる余裕がないのでYシャツを乱暴に脱ぐと、青峰と黄瀬がわかりやすく顔を赤くした。

適当にハサミでYシャツを切って、簡易包帯にする。さすがにこのまま動き回ったら、また貧血に成りかねん。まぁ、あの時の腕の怪我よりは浅いけど。

ちなみに首に巻いてあった包帯は、もちろんゾンビの攻撃やらでボロボロになって使い物にならなかったので、取ってその辺に捨てたよ。



「っ! あんた、それっ…なんスか!?」

「見てんじゃねぇよ」

「あんた、思ったより巨乳なんだな」

「テメェはもっと言う事ねぇのかよ、しね」

「その首も…なんなんスか、それ」

「あんた達が体育館で呑気に和気藹々としてる時、探索中に殺され掛けた時の痕ですが?」

「っ…本当だったんスか」

「さぁ? ま、早く移動するよ。既に赤司達が死んでる可能性はあるけど」



少しきつめに脇腹にYシャツで作った簡易包帯を巻き付けて縛ってから、立ち上がる。

痛いには痛い、けど…まだ動ける。

それにハサミを1つ無くしたのがかなり痛い。そもそも、なんでゾンビが持ってるナイフ使えねぇんだよ。一緒に消えてんじゃねぇよ、しね。

そして軽く周りを見渡して、赤司達がいる可能性がある方角を絞る。

間違いなく、こっちではない。わたし達の視界から消えるなら、直線ではないだろうし。

…となると、真が作った地図を思い出しながら必死に場所を割り出す。さすがに階段は降りてないと思うから、こっちから行けば…いるはず。



「おい、行くぞ。可能性は低いけど、ゾンビに遭遇した場合は相手にせずに突っ走るから」

「え、はいッス」

「青峰、殿頼める?」

「あ? おぉ、わぁったよ」

「それと自分達の足音以外に何か物音とかしたら教えて。後は、赤司達が死んでないのを祈ってな」

「なっ…そんな事、」



とりあえず、死んでない可能性もあるし。すぐに見付け出してやるから、ちゃんとわかる様に何かしら残しとけよ。

それと間に合わなくても、恨まないでよね。

そして走り出そうとした瞬間、グイッと腕を掴まれて振り向くと青峰が神妙な面持ちでわたしを見下していた。



「ん、着とけよ」

「は? え、気持ち悪い」

「…っせぇな、目のやり場に困んだよ」

「えぇ…こんな時ぐらい性欲抑えろよサルかよ」

「いいから着てろっつってんだろ!!」

「ぶふっ! テメェ、何しやがる! 要らねぇって言ってんだ、…チッ、わかったわかった。さっさと行くよ」



青峰に無理矢理着せられたTシャツが少し不快ではあるが、仕方がない。時間が惜しいから素直に着てやろう。

それと黄瀬、テメェはさっきからチラチラこっち見てんじゃねぇよ。

今更、わたしに悪いとか思ってんなら気持ち悪いしどうでもいいから、働けや。


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