さよならと嗤う | ナノ
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予備を持って来てよかった。

わたしの合図で青峰と黄瀬が赤いゾンビから、雑魚ゾンビを剥がすようにそれぞれ攻撃をする。

まだ足りない、まだ早い。
雑魚と言っても、ナイフ持ちで無駄に固い。すぐに捌ける訳がないのはわかってる。

だけど、やって貰わなくちゃ困る。

………、っ!!



「絶対にこっちに寄越すなよ!!」

「わかってるッスよ!!」
「早く行けよ!!」

「っ、…いっ…てぇな!!」



青峰と黄瀬が合わせて3体倒したところで、ドンピシャのタイミング。

ゾンビが湧くのは何も、ずっとな訳じゃない。もちろん、相手がゾンビを湧かそうとして…湧いてくる訳で、数が減ったら補充する様な感覚なんだろう。

その瞬間、ゾンビを湧かそうとしているこの時だけこの赤いゾンビの動きが止まる。

もちろん、湧かそうとしてる時は周りの雑魚ゾンビが赤いゾンビを守る様に寄って来る…が、青峰と黄瀬が捨て身で雑魚を食い止めている。

つまり、完全フリーで呑気に湧き動作に入ったこいつは隙だらけだ。

グッとハサミを持ってそいつ目掛けて走り、足を狙ってハサミを投げる。さすがに転んではくれなかったが、意識は反らせたらしくゾンビがすぐに湧く事はなく、すぐさまゾンビに向かって走る。

そして顔面を下から蹴り上げ、倒れ掛けたところを飛び掛かる様にしてゾンビの頭をふとともで挟むようにして、押し倒してハサミを頭へ降り下ろす。

っ…!! か、固いっ!!

思っていた以上にゾンビが固くて、思う様にハサミが刺さらない。そして、咄嗟に飛び退いて避けるが…わたしの腹部に走る激痛。

っ、クッソ…面倒くせぇ。

ナイフがそれなりにわたしの横腹を掠め、一気に体が熱くなる。そして、そんな間に赤いゾンビがゆっくりと起き上がりまた雑魚ゾンビを湧かそうと動作に入った。

…あぁ、クソが!!

さすがにここで湧かれたら、全部が水の泡だ。

すぐにハサミを持ち変えて、赤いゾンビのこめかみに突き立てる。そして、そのままゾンビの頭を掴み…さっきデコに突き刺した中途半端なハサミに膝蹴りを叩き込む。

いっ…てぇ! 固過ぎなんだよ、クソが!

メキッと嫌な音がして、すぐにこめかみのハサミを掴んで蹴って抜き、距離を取った。

さすがにこれで消えてくんないとヤバい。ていうか、多分…イケたはず。


そしてデコにハサミが深々と刺さった赤いゾンビは、ゆっくりと後ろに倒れると塵の様にして消えた。

…っで、後は雑魚処理。


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