さよならと嗤う | ナノ
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そして、いざ2階の探索に向かってる訳だけど…クッソうっぜぇ!! 後ろの甲高い声もうぜぇけど、隠しもせずわたしに疑いの目を向けて敵対心バリバリの黄瀬がクソうぜぇ。

こいつ、置いて行きてぇ!
囮にして置いて行きてぇ!



「見てんじゃねぇよカス」

「はっ…? あんたが何しでかすかわかんないから、監視してるだけッスけど?」

「あーはいはい勝手にしてれば? そんな事しててゾンビに襲われても助けないから、1人で死んでね」

「はぁ? あんた、…!!」

「…あ? なんか言った? わたしを監視するくらい余裕のある黄瀬くん」



階段を上りきって、不意に聞こえた靴じゃない足音に手に持っていたハサミを投げると見事に角から出て来たゾンビのこめかみにヒット。

そして唖然としてる黄瀬を置いて、ハサミの回収と更に続いて出て来たゾンビに飛び蹴りをする。

…8、9、10はいるかなぁ。
あぁ、クッソ面倒くせぇな! ゾンビのこめかみからハサミを引き抜き、直ぐ様持ち変えて迫って来てるゾンビの腕に突き刺し、後方のゾンビに向かって蹴り飛ばす。

…武器持ちで、っ…とかなり固いなこいつ等。

蹴りだけで倒れない辺り、もはや武器なしだとかなりキツそうだ。頭を狙うにしても、他が固くて…バランスでも崩さない限りはハサミで一刺しは無理そうだし。

はぁ…無駄に体力使いそう。



「おい、あんたっ…肩」

「あ? いいから前見ろよ。 助けてやんねぇから、必死に戦えよ」

「…はっ、可愛くねぇ女」

「あんたの幼馴染みみたいに騒げばいいの? クソの役にも立たねぇな」

「うるせぇ…よっと! おい、黄瀬ェ! いつまでボサッとしてやがる!!」

「ハハッ、余裕がある黄瀬くんはきっと何か考えがあるんだよねー?」



なんか後ろの方から、赤司の声が聞こえた様な気がしたが…今は、それどころではない。

ゾンビのナイフを避けながら、必死に蹴りで距離を保ちつつ1体ずつ確実に仕留めていく。

すぐに青峰が加勢に来たのは意外だったが、さすがは身体能力モンスター。気持ち悪いくらい…お前使えんじゃん。頭悪いけどめっちゃ戦えるじゃん。

ま、ちょっとワンパターンで無駄が多いけど。お前、体力もアホみたいにあるから問題ないよな。



「っ…! あっぶねぇな!!」

「大丈夫かよ」

「いいから、周りの奴から倒せよ。あいつだけなんかおかしい」

「ん、まぁ…確かにな。で、黄瀬…テメェは何してんだよ」

「あんた等がそんなホイホイとゾンビ倒せる方がおかしいんスよ!」

「うるせぇな! ギャンギャン吠えるなクソ犬が! 死にたくなかったら、ゾンビに集中しろって言ってんだよ!!」



逆にギャンギャン喧しいだけで、まるで使えねぇ黄瀬。お前まじで無能。

ゾンビが怖いんだが、触りたくないんだか知らねぇけど…まじで助けねぇからな。ゾンビの餌になるなら、1人でどうぞ。



(あ、青峰っちぃ〜!!)
(うるせぇな、ちゃんと殺れよ黄瀬ェ!)
(だ、だってぇ! 全然倒れないッスよ!?)
(弱音とかクソ過ぎてうける)
(はぁ?)
(恥ずかしくないんでちゅかー?)
(っく…あんた!!)
(文句はゾンビ倒してからにしろよ、黄瀬)
(青峰の方が頭は良いのはわかっ…た!!)
(ま、この状況見りゃあ当たり前だろ)
(はい、優秀! って、クソ犬ぅ! こっちにゾンビ流してんじゃねぇぞ!!)
(は? 知らねぇッスよ!)
(ぶはっ、クソ犬って認めてんのかよ)
(自覚あるクソ犬)

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