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訳がわからず、転んだまま座っているとゾンビを蹴り飛ばした2人が足早に戻ってきた。
「もう、何やってんの? バカじゃないの」
「…ちゃんと付いて来いよ」
「ふざけんな、しね」
「いや、千夏が転ぶとか思わねぇし。つーか、立てんの?」
「普通に立てる。ていうか、ゾンビは?」
「ゾンビだし、頭踏めば動かなくなるかな〜って踏んだら消えた」
「だったら最初からやれよ」
とりあえず、助けてくれた事は有り難いけど…元はといえば、弘がゾンビを連れて来たのが悪い。
しかも、わたしを置いて2人で前を走ってたのも、許してないからな。絶対に許さないからな。
そしてゆっくりと立ち上がると、トンッと一哉に背中を押された。
「次、転んだら置いてくかんね」
「既に1回置いてってんじゃん、しね」
「可愛くなくて草」
「…、えぇ? そんなぁ…そんな事言わないで助けてよ〜一哉くぅん」
「きも」
「自分で言ってて吐きそうになった」
「…お前等、本当に危機感ないよな」
「は? 危機感よりわたしは苛々してるっつーの。無駄に血出てるし」
「え? それ生理なの?」
「ほんと死んで」
とりあえず、弘わたし一哉って感じで2人がわたしを挟んでくれる事になったんだけど、今更過ぎてキレそう。
最初からそうしてたら、わたしは怪我もしなくて済んだですけど?
いや、まぁ…さすがに状況が状況だから仕方ないか。あれが本当のゾンビなのかも、よくわかってなかったし。
まぁ、消えるって事は…イタズラで誰かがゾンビのフリをしてたって訳じゃないし。
そんな事を考えながら3人で歩いていると、急にスピーカーから嫌なノイズが聞こえたかと思ったら、聞き覚えのある声が響いた。
「"俺は赤司征十郎です。俺達以外に生きている人間がいるなら、体育館へ急いで避難して下さい。道中、ゾンビに会う可能性があるので注意して下さい。ゾンビは強くはないですが、足が早いので…今から俺達がゾンビを出来る限り引き付けるので、その間に移動をお願いします。では、体育館で会いましょう"」
…う、うわぁ。
マジで? まさかのキセキのチート厨二マンもいるの? ていうか、あいつの言う"俺達"って誰だよ。
「千夏、顔に出過ぎでしょ。ウケる」
「とりあえず、行くか?」
「キセキしかいなかったらどうする?」
「なにそれキモッ」
「ま、行きたくないけど…行くしかないよね」
「つーか、千夏の怪我の手当てしてぇし…行こうぜ」
「弘が優しい、ちょっと泣きそう」
「え、キモいからやめて」
「女の子に向かってキモいとか酷い、しね」
「お前の方がひでぇんだよなぁ…」
とりあえず、色々と思うところはあるが…今はこのままフラフラとしていても、またゾンビが出て来るだけだろうし、素直に体育館に向かおう。
そして相変わらず、痛む腕を押さえながら3人で体育館へと向かった。
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