さよならと嗤う | ナノ
01*(3/4)


訳がわからず、転んだまま座っているとゾンビを蹴り飛ばした2人が足早に戻ってきた。



「もう、何やってんの? バカじゃないの」

「…ちゃんと付いて来いよ」

「ふざけんな、しね」

「いや、千夏が転ぶとか思わねぇし。つーか、立てんの?」

「普通に立てる。ていうか、ゾンビは?」

「ゾンビだし、頭踏めば動かなくなるかな〜って踏んだら消えた」

「だったら最初からやれよ」



とりあえず、助けてくれた事は有り難いけど…元はといえば、弘がゾンビを連れて来たのが悪い。

しかも、わたしを置いて2人で前を走ってたのも、許してないからな。絶対に許さないからな。

そしてゆっくりと立ち上がると、トンッと一哉に背中を押された。



「次、転んだら置いてくかんね」

「既に1回置いてってんじゃん、しね」

「可愛くなくて草」

「…、えぇ? そんなぁ…そんな事言わないで助けてよ〜一哉くぅん」

「きも」

「自分で言ってて吐きそうになった」

「…お前等、本当に危機感ないよな」

「は? 危機感よりわたしは苛々してるっつーの。無駄に血出てるし」

「え? それ生理なの?」

「ほんと死んで」



とりあえず、弘わたし一哉って感じで2人がわたしを挟んでくれる事になったんだけど、今更過ぎてキレそう。

最初からそうしてたら、わたしは怪我もしなくて済んだですけど?

いや、まぁ…さすがに状況が状況だから仕方ないか。あれが本当のゾンビなのかも、よくわかってなかったし。

まぁ、消えるって事は…イタズラで誰かがゾンビのフリをしてたって訳じゃないし。

そんな事を考えながら3人で歩いていると、急にスピーカーから嫌なノイズが聞こえたかと思ったら、聞き覚えのある声が響いた。


「"俺は赤司征十郎です。俺達以外に生きている人間がいるなら、体育館へ急いで避難して下さい。道中、ゾンビに会う可能性があるので注意して下さい。ゾンビは強くはないですが、足が早いので…今から俺達がゾンビを出来る限り引き付けるので、その間に移動をお願いします。では、体育館で会いましょう"」


…う、うわぁ。
マジで? まさかのキセキのチート厨二マンもいるの? ていうか、あいつの言う"俺達"って誰だよ。



「千夏、顔に出過ぎでしょ。ウケる」

「とりあえず、行くか?」

「キセキしかいなかったらどうする?」

「なにそれキモッ」

「ま、行きたくないけど…行くしかないよね」

「つーか、千夏の怪我の手当てしてぇし…行こうぜ」

「弘が優しい、ちょっと泣きそう」

「え、キモいからやめて」

「女の子に向かってキモいとか酷い、しね」

「お前の方がひでぇんだよなぁ…」



とりあえず、色々と思うところはあるが…今はこのままフラフラとしていても、またゾンビが出て来るだけだろうし、素直に体育館に向かおう。

そして相変わらず、痛む腕を押さえながら3人で体育館へと向かった。


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