さよならと嗤う | ナノ
13*(3/4)


そしてまだ別の探索班が帰って来てないので、暫くは待機という事で霧崎スペースへと帰って来ました。



「お前、馴染み過ぎだろ」

「いやぁ、なんか居心地良くって!…って、なんつーか千夏さんが無事に目覚まして安心したッス!!」

「アーン? わたしがやられっぱなしでイイコに寝てる訳ねぇだろ」

「ぎゃはは! それは確かに」

「で、高尾の見解はどうだった? わたしは、赤司からなかなか良い話が聞けて、大変満足だが」

「逆に花宮さんが物凄く不満気ですけど…ぶふっ」



それは、まぁ…仕方ない。
ていうか、多分…わたしが次の探索に行くよって言ったら他の奴等もこうなる予感がする。特にずっとキレてた一哉とか。

で、高尾からの報告はまぁ…半分くらいは赤司と同じだった。まぁ、赤司も高尾も観察眼ヤバいからね被るのは仕方ない。

だが、そこで更にとんでもない物を見付けて来るのがこの高尾である。



「これなーんだ?」

「……え、なにこれ水晶玉?」

「あ、これ赤司にも言ってないんで秘密ッスよ? 伊月さんとあの女と2ーBを探索してる時に、あの女が眉間に皺寄せて変な動きしてたんスよね〜。で、教室出る前に机を確認したらこれがあったんスよ」

「有能過ぎかよ。え、実は高尾がクローン説ない? 大丈夫?」

「ぎゃっは! ないッスないッス。ていうか、俺がクローンだったら一緒に探索行った時に真っ先に千夏さん殺してますし?」

「こ、こいつ…っ! どこまでも有能かよ!!」



そんな事を話しながら"はい、どうぞ"っとわたしに小さな青い水晶玉を渡すと、ヘラリと笑う高尾に一哉と真がドン引きしている。

こいつが敵じゃなくてよかった。なんか知らんが、生命の危機を感じた。わたし達よりこいつの方がヤバいと思う。こいつ、まじでなんで秀徳にいるんだ。あ、バスケの為か。

そして受け取った青い水晶玉を手のひらで転がしてみたり、触ったりするが特に何も起きない。正直、なんか起きるかと思ったけど…なんも起こらない。

とりあえず、隣にいた真にも渡すと嫌そうな顔をしつつ青い水晶玉を受け取り、注意深く観察し始めた。



「なんかのキーアイテムかなぁって思ったんスけど。だから、なんも言わずに放置したんじゃないッスかね」

「それかあいつにとって良くない効果があるとか。ゲームとかでよくある感じのー」

「装備品かぁ。ま、可能性はあるよねー。ゾンビが武装してる訳だし」

「で、1番危険そうな千夏さんが持ってた方がいいかなーって。あいつに効果があるなら余計に」

「お前…良い奴かよ。わたしの事大好きかよ、大好きなんだな?」

「ぎゃはは! めっちゃ食い気味! ま、もちろん大好きッスよ?」

「もうやだこいつ…わたし高尾嫌いだわ」

「ぎゃっは! なんで、ひでぇ!!」



やっぱりうちにいる様でいないタイプの高尾は、わたしの予想の斜め上をいった。

なんだよ、大好きって。普通に言ってんじゃねぇぞ、このでこっぱち。やめろよ、素直な好意には慣れてないんだよ。

バッと顔を隠す様に手で覆い、未だに青い水晶玉の観察をしている真に意味もなく頭突きをした。


prev / next

[ back to top ]