さよならと嗤う | ナノ
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そして余り気分の良いものではないので、首には包帯を巻いておく事にしました。

一哉がうるせぇし。



「ほんまに体は大丈夫なんか?」

「大丈夫ですって。完全復活して、前よりピンピンしてますから」

「で、改めて聞くで? 千夏には、襲って来たんがマネキンじゃなくて原くんに見えてたんやな?」

「はい。ぶっちゃけると、一哉だと思ってクソ油断してました。最初に声掛けられた時も声が一哉だったんで」

「…うーん。ま、わかりきっとる事なんやけど…自分が"あの子"だと思うか?」

「ほぼ確定かと。一哉マネキンがわたしを見て"見付けた"とか言ってたんで。その時の声は、もはや人間じゃなかったですけど」



そして今は、真が話があるから来いとわたしを呼びに来て、今吉さんと話してる最中です。

ちなみに赤司は探索班だからいないよー。なんだかんだ、指示だけするだけかと思ってたから、ちゃんと自分で探索に出る辺り偉いとは思う。

文句ばっかり言って、自分ではなんもしないで…安全圏でクソみたいな友情ごっこしてた奴等に比べたらかなりマシだよね。お前等だよ誠凛、わかってんのか? あ?



「なんや、めっちゃキレてるやん」

「いやぁ、一哉が息をする様にキレてたんでわたしにも移りました。ていうか、普通に頭にキテますし?」

「もしかして、聞いたんか? まぁ…そっちからくれた情報やしなぁ」

「高尾、優秀ですよねー。視る目もあるし、状況判断力とか正直お前怪しくね? ってくらいですよ」

「ほんま、なんで千夏達がここまで怪しまれて疑われてるのかわからんわぁ。ま、そこを高尾はわかってる辺り…さすがやけど」



高尾があの女に探りを入れてくれた事は、既に一哉と健ちゃんから聞いてる。ていうか、高尾もなんだかんだわたしの事が大好きかよ。

ちなみにあの女が探索に行く理由は"みんなの役に立ちたい"っていう吐きそうなくらい気持ち悪いテンプレだったそうで。

そんな女に、でも危ないよって話をしたら"赤司くんや今吉さん…みんながいれば安心だよ!"とか抜かしてたらしい。

ピンポイントで狙われててクソ笑うよね。しかもそれを聞いて、すぐに気付いた上に上手く使う高尾はまじでやべぇ。お前、霧崎にいたら絶対にわたし等と上手くやれてたぞ、いやまじで。

高尾はじゃあ俺も一緒に行ってやるから、頼んで来てやるよ〜なんて言って3人に軽く説明して、探索班に入れてもらったらしい。つまり、高尾は自らあの女の監視をしに行くと。

で、組まれた班が赤司・弘・康次郎・高尾・伊月・姫野って感じ。厳重警戒にも程があるよね、クソうける。

もはや、学校から2人とか関係なくなってるしね。



「ほんま、怖い後輩ばっかで恐ろしいわぁ」

「妖怪様が何を」

「はははっ、…なんやて?」

「なんでもないでーす。でも正直、死に掛けたわたしが言うのもあれですけど…かなり不安ですねー」

「あ? 絶対に赤司だけは死守しろって言っといたから問題ねぇだろ」

「康次郎と弘の扱い雑過ぎない?」

「多少の怪我は許すが、死んだら殺すって言っといたから大丈夫だろ」

「もはや、ただただ理不尽」



まぁ、康次郎と弘が真の命令を破った事は今までないから…大丈夫か。それに、わたしの事もあって…かなり殺気立ってたらしいからね。

あれ? そんな2人の前で下手にアクションなんか起こしたら、あの女殺されるんじゃね?

いや、それは赤司や高尾が止めてくれると祈ろう。さすがに今殺したらマズイ。


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