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…ん、んん? え、まじで?
なんか、腕とか首とかお腹がカァッと熱くなるのを感じたかと思ったら、痛みが消えた。
さすがに信じられず、腕の包帯を乱暴に解くと
「え、きもっ…こわっ…」
「あ、声も戻ってるね。どっか痛いところない?」
「いや…なにこれ、まじで飲んで大丈夫だったのこれ」
「別に平気じゃん? 俺も特になんもねぇし」
「え、なに回復とか…ゲーム感覚かよ。こわっ」
さすがのわたしもドン引きである。あの怪我が一瞬で治るとか…もはや気味が悪いとかを通り越して、ただただ怖いんだけど。
ていうか、こんなんあったら余裕なんじゃないの? もはや、ぶっ壊れアイテムじゃん。
緑色の液体が入る小さな小瓶を軽く降りながら、健ちゃんを一哉を見ると…ま、特に気にしていない様で治ったんだからいいじゃんと言わんばかりの顔である。
んー、わたしと一哉が飲んだせいで量は減ってるけど、まだ半分くらいは入ってるから…後2回分くらいかな。
「首の包帯取ってあげるから、こっちおいで」
「ん、よろしく」
「じゃ、俺はそれ花宮に返してくるから貸してー」
「え、これ真のだったの!?」
「ん、まぁ…花宮が見付けて来たらしいよ」
「へぇ…ま、助かったけど」
そして一哉がわたしの手から小瓶を取ると、未だに今吉さんと話している真の元へと向かって行った。
ふぅん…なんか、変な感じ。
体育館の中の雰囲気はもちろんなんだけど…わたしへの視線が変で気持ち悪い。え、なになに? あいつ死に掛けたからクローンじゃないんじゃね? みたいな感じですか、そうですか。
…今更過ぎんだよ、殺すぞ。
そんな事を考えてたら、包帯を取ってくれていた健ちゃんが凄い顔をしていた。え、なんだその顔…なにがあった。
「首…痛くないんだよね?」
「え、うん。話すたびに咳き込みもしないし、声も正常じゃん?」
「……そ、ならいいけど」
「は? なんで包帯巻き直してん」
「目の毒だから」
「意味がわからんのだが? あと被せ」
「るよ」
「……つーか、遠くからでも見えたんだけどー。は? まじでうぜぇーんですけどー」
いやいや、意味がわからないんだけど? ていうか、被せんなよ。なんなの? バカなの? 死ぬの?
そしていいから説明をしろと健ちゃんに言おうとしたら、真に小瓶を返し行っていた一哉が帰ってきた。
しかもまたキレてるし、まじでキレ過ぎ。しかも、包帯を巻き直している健ちゃんを退かしてわたしの前に座ると、何故かヘラリと笑った。
なんだこいつ…情緒不安定かよとか思ってたら、一哉がスッとわたしの首に指で触れた。
「ここ、首絞められた痕…なーんでかくっきり残ってんの」
「は?」
「クッソ気分悪いんですけどー。まじでキレそう、ちょーうける」
「ずっとキレてたじゃねぇか」
どうやら、痛みはなくなったが…痕が残っているらしい。ちなみに腕には痕はなくて…恐らく、お腹も首と同じ様に青紫色に変色してるんだろうなぁ。
つまり、マネキンに襲われて出来た怪我だけ痕に残ったと。
なにそれきもい、ヤンデレかよ。
まじで死んでくれ。
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