さよならと嗤う | ナノ
01*(2/4)


マジでふざけんな。


「ちょっと! わたしがいるのになんで2人して逃げてんの!? ふざけんな!!」

「千夏なら大丈夫」
「千夏だから大丈夫」

「ぶっ殺すぞ!!」

「ぶっ殺すなら是非その後ろの奴をオナシャス」

「頑張れ頑張れ! 出来る出来る!! 千夏なら絶対に出来る!!」

「いいから止まれや! 逃げる時だけ全力出してんじゃねぇよ!!」



教室から出たはいいが、叫び声と共に現れたのはゲームとかではゾンビとか言われているなんかもう…気持ち悪い化け物に追われてる弘だった。

そして3人でそのゾンビから逃げてる訳だけど、あの2人はわたしを置いていく勢いで前を走っている。

なんなの? クズなの? 死ぬの?
いや、一哉がクズなのは知ってたからいいけど…いや、よくねぇけど。ていうか、さっきから一哉は完全に笑ってるよね。

この状況を楽しんでるよね? やっぱりこいつクズ過ぎんだろ。



「ていうか、ゾンビの癖に足早いとかウケる」

「ウケねぇよ!」

「つーか、よく考えたらゾンビって脆そうだよな。ちょっと千夏蹴ってみて」

「テメェがやれよ!!」

「ハハハッ、千夏ってば寝起きなのに元気良すぎじゃね? マジウケる」

「わかった、目の前にある背中を蹴ればいいんだな? そうなんだな?」

「ちょ、やめて」



ていうか、普通に寝起きでダッシュは辛い。しかもかなり視界も悪いし、何より廃校なのかなんなのか…足場も悪い。

そしてこんなふざけた会話をしていれば、足元への注意も怠ってしまうのは仕方ない。

というか、これでもわたしは結構必死だ。怖いというよりは、気持ち悪さが勝っているが…怖くない訳ではない。

その結果、見事にスッ転びました。いや、もうね…こんな場所に連れて来たやつ、マジで死ね!!


…普通に痛い。
ていうか、絶対に変な物の上で転んだ。腕からめっちゃ血出てんだけど…なんなの、マジで。

しかし、そんなわたしに容赦なく迫ってくるゾンビ。

え、キモい。めっちゃキモい。
主に走り方がキモい。

そして走りながらわたしに腕を振り上げるゾンビに、転んだままだったわたしは手元にあった何かを掴む。

ゾンビから目は離せないし、なんかわからないけど…これぶつけて逃げる。

そう思いながら、必死に腕の痛みに耐えながらゾンビとの距離を見極めていたら…後ろから凄い勢いで一哉と弘がわたしを通り過ぎてったと思ったら、ゾンビが物凄い勢いでぶっ飛んだ。


prev / next

[ back to top ]