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《"愛されるのはワタシで愛してるのもワタシ。だからあの子がニセモノでワタシがホンモノ。そうだよね、おとうさん"》
《"あの子が欲しい。あの子になりたい。ワタシはニセモノじゃない。だって、愛されてるもん。だから、ワタシはニセモノなんかじゃない!!"》
《"愛して愛してあいしてあいしてアイシテアイシテ。なんで、なんで…あの子なの? ねぇ、おとうさん…ワタシがあの子になったら、アイシテクレル?"》
へぇ…また別パターンか。
2階の3ーAと3ーBで見付けたという真っ赤な紙に真っ黒な字で書かれた文字に目を通し、赤司へ渡す。
つまり、黒い紙が犠牲者または元人間で白いノートの紙片が研究者。
赤い紙がクローンってところか。
「今度はクローンの…メモですか。これで、クローンの目的は"あの子"の乗っ取りという事がハッキリしましたが、」
「証拠としては不十分だ。それにクローンが誰であの子が誰なのか断定出来る情報もねぇ」
「でもかなり絞れたやろ?」
「まぁ、クローンが女な確率は高いかもな。だが、一人称なんてどうとでもなるだろ」
「…では、今までのメモ等を鑑みて、1番怪しいと思うのは…誰ですか?」
あ? 俺は、最初からあいつが怪しいって言ってんだろうが。そもそも、"あの子"が千夏ってわかった時点で、クローンの可能性がある奴もかなり絞れたからな。
というか、わかりきってる事をいちいち聞くな…面倒くせぇ。それに、そんな事を言ったところで証拠も情報もなけりゃあ、なんも出来ねぇ。
無駄な時間なんだよ。
「それより、俺はクローンの存在を公にした方がいいと思うぜ」
「何故ですか?」
「クローンがアクションしやすくする為だ。こんなん、ちんたらやってたらじわじわ喰われるだけだ」
「せやな。それに千夏があんだけの重症を負ったんやし、そろそろ説明せんとな」
「誰かのクローンがいて、俺等を殺そうとしてる程度で構わねぇ。で、その後すぐに探索に行く事を伝えろ」
「……釣るんですね?」
「ふはっ…さぁ? なんの事だかわかんねぇなァ?」
まだ、早い。動きはするだろうが、まだ殺しはしないだろう。なんたって、第一目標の千夏がまだ生きてるからな。
それに…自分は怪しくない、自分はクローンじゃないと、必死にアピールするのを純粋に見たいだけだぜ? 俺は。
どんなに周りを固めても、根が欠陥品なんだ。どうしたってボロは出る。それに、条件付きにしたってこんだけ情報を貰えるって事は…ま、そういう事だろ?
クローンは、千夏を殺して千夏に成り代わりたい。
研究員は、やはりクローンではなくオリジナルの千夏が欲しい。つまり、そのまま手に入れたい訳で、死んでほしくないはないはずだ。だから、助けたい。
だからどう考えたって、お前等は敵対してんだよ。
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