さよならと嗤う | ナノ
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一緒に来た葉山と根武谷の活躍で、思ってたよりも早く今吉さん達に合流する事が出来て、すぐに一緒に体育館に戻って来た。

そして体育館に入り、チラリと視線を移すと千夏はまだ目を覚ましていない様で健太郎がふるふると頭を振った。

……ふはっ、まぁこの状況を1番心待ちにしてたんだもんなァ?



「…おかえりさない! よ、よかったぁ…誰も怪我とかしてませんか?」

「あぁ! 大丈夫だとも! 心配してくれて嬉しいよ…姫野さん!!」

「ん? あぁ、せやな…みんな大丈夫だったで」

「おい、さっさと行くぞ。時間が惜しいんでな」

「わかっとるって。ほな、報告はワシがしとくから戻ってええよ〜。お疲れさん」

「あぁ、わかった。おい、いつまで遊んでんだ! 行くぞ、森山!!」

「本当にありがとう! 姫野さん!!」



虫酸が走るくらい甘い声で、俺等に駆け寄って来る女に笑えてくる。ふはっ、楽しそうで何よりだぜ。随分と嬉しそうな顔してんなァ?

何が、"志波さんが怪我をしたから、みんなにも何かあったらって思ったら心配で…" だ。逆だろ? "志波さんが怪我をしたから、嬉しくて出迎えしちゃいました" だろ?

小声で、いかにも心配してましたという仕草をする女を見下し…さっさとその場を離れる。

目が笑ってんだよバァカ。


◆◇◆◇◆


「…それ、千夏はほんまに大丈夫なんか?」

「目を覚ましていないので…まだなんとも言えないです」

「で、どうするつもりだ? 今更、千夏が死に掛けたところで探索はするんだろ」

「そうですね。それに、志波さんにここまで無理をさせといて…今更、危険だから探索を止めるなんて言いませんよ」



…ふんっ。
チラリと千夏の方に視線を移すと、少しすまなそうに笑う赤司。このくらいの事で、探索を諦めるとは言わねぇとはわかってが、さすがに…なァ?

ま、ちゃんとわかってんなら俺からこれ以上、赤司に言う事はない。

それに千夏があぁなったのは、油断していた千夏も悪いからな。ふはっ…それ以上に悪いやつも居るが。



「せやけど、霧崎第一の連中はもう探索行かへんのちゃうか? なぁ、花宮?」

「あ? 俺が行けっていえば行く奴等だ、関係ない」

「それはよかったです。ですが、志波さんの事もありますし…3人は残す様にしますね」

「別に誰が一緒にいようが目を覚まさねぇ時は覚まさねぇし、勝手にしろ。で、今吉さん達は何か見付けたんですか」

「…ん、まぁ一応な? 千夏達みたいに大層なもんやないけど」



別に情報ならなんでもいいんだよ、だからさっさと出せよ。そもそも、千夏の心配すんなら、さっさと証拠集めてあの女を殺した方がはえーんだよ。

そして、今吉さんがポケットから小さなメモを取り出すと何故か俺へと差し出した。


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