さよならと嗤う | ナノ
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◇◆◇◆◇

一向に千夏が目を覚ます気配はないけど、普通に息はしてるから生きてる。

ちなみに瀬戸が千夏の腹の具合を診たんだけど、まぁ…千夏が起きてないからどこが痛いとかわからないじゃん? だから、詳しくはわかんなかったみたい。

ま、急に吐いたりとかもしてないから大丈夫そうとは言ってたけど。

とりあえず、周りからの視線は相変わらずうっぜぇけど…別に害がある訳じゃないし? どうでもいいけどねー。

そんな事を考えながら、ボーッとしてるとゆっくりとこっちに向かって来る奴が1人。



「なに、高尾」

「…うぃっす。千夏さんの様子が気になって、どうなんスか?」

「ま、生きてるよん」

「いやいや、そうじゃなくって! それに原さん達、めっちゃ殺気立ってるじゃないッスかー」

「なのに来たのか」
「お前勇者かよ」

「ぎゃはは! …だから来たんスよ?」



あぁ、こいつはそういうやつだったわー。別に俺等に敵意はないし、むしろなんか同類感半端ないけどー。

なんていうか、すっげぇ勘も鋭いし鼻も利くしで…油断出来ないって言うかーバカじゃないんだよね、こいつ。

ほんと嫌だわー、こいつ。

ヘラヘラ笑いながらも、目は笑ってねぇし。花宮とか千夏とは違った、猫被るタイプ。世渡り上手っていえば、聞こえはいいが…ただ口が上手いだけ。

自分の本心を隠して、相手を尊重するフリして…実は操ってるタイプ。



「俺、お前まじで嫌いだわー」

「ぎゃはは! ひでぇ!!」

「まぁ、黒いからな」
「ま、花宮のお墨付きだし?」
「確かに」

「ぎゃっは! 俺の評価どんだけ酷いんスか!」

「で、千夏の心配でもしに来たの?」

「そりゃあ、まぁ。詳しくは知んないッスけど…原さん達の慌てようで相当ヤバい事があったんはわかってますよ?」

「…ははっ、高尾殴っていい?」

「ぶっ…ちょ! やめて下さい! 謝りますから、その拳下ろして下さいって!!」



ほんとムカつくよねー。
ま、確かにちょっと焦ってたけど…高尾に言われるとムカつくよね。

んで、高尾が"出来れば何があったか教えて欲しいなーなんて?" と可愛く頭を傾げてウインクをして来たから、とりあえず蹴った。

てーか、普通に探り入れて来るより面倒臭いんだけどー。直球過ぎてうけるんですけどー。

俺の蹴りにオーバーリアクションで"ひでぇ!"とゲラゲラ笑ってる辺り、やっぱりこいつは俺等となんだかんだで同種っぽいんだよなぁ〜とか思ったり。



(じゃあ前払いで)
(お、さすが瀬戸さん)
(まぁ、見てたからね)
(なんかあの女が探索に行く行く言ってるんスよね)
(ぶっ…あの女って、名前じゃなくなってるし)
(いや、俺も少し頭にキテますし?)
(ぶふっ…高尾くんおこなの?)
(正直、激おこッスね!)
(いや、話反れてるから…)
(あっ、で…まぁ赤司が許可してくれないっぽくて)
(まぁ、だろうな)
(で、なんで探索に行きたいのか理由を聞きに行ったんスよ)
(さすが有能)
(あざーす。で、理由なんスけど…)

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