さよならと嗤う | ナノ
06*(4/4)


「っ、はぁ…はっ…」

「千夏、ヘバってないで前見ろって」

「…うっさいしね」

「いや、それ死ぬの千夏だからね、…っと高尾、椅子!!」

「ウィッス! 真ちゃん、追加の椅子出しといて!!」

「っ…てか、まだかよ…早くしろクソが」

「え、これ使えって? え、マジで? 千夏さん、これ使って下さい!!」



さすがに体力の消耗が激しい。とはいっても、一哉と高尾はまだ余裕が有りそうだけど。わたしは、一哉や高尾みたいに椅子使ってないし。

ていうか、最初は椅子使ってたんだけど…腕疲れるし。振りかぶるの辛くなったから、途中から蹴りのみで応戦してる。

そんで、そんなわたしに高尾が何かを差し出して来て…笑った。いや、もう爆笑するレベルでうける。



「瀬戸さんかららしいッス!」

「健ちゃん…まじ許さねぇ」

「ぶ、千夏似合ってる似合ってる」

「つーか、どこ狙えって話だし。やっぱ頭? まじで健ちゃん許さねぇ…っから!!」

「ハサミで殺されるゾンビとか、ちょーシュールなんだけど。ていうか、ゾンビから血が出なくてよかったよねん」

「っおら、退けろクソゾンビ」

「女とは思えない戦いっぷりで、一哉くんドン引き」

「…きも過ぎてキレそう」

「ぎゃはは! 絶対違う理由ですよね、それ!」



わたしがゾンビのこめかみにハサミを突き刺して、蹴り飛ばしてハサミを抜き取った光景に一哉がオーバーにリアクションした。

ていうか、そもそもわたしを戦力に数えてる上に戦わせてるのお前等だからね? ま、別にいいけどさ。

そしてこんな状況なのにゲラゲラ笑える高尾は、やっぱり頭がおかしいと思った。お前、実は楽しんでんな? しかも緑間と違って余裕で戦ってるし、メンタル強いし、視野広いし、まじで有能。



「もういいよ、目星い物は大体取ったから行こう。ま、ハサミだけど」

「おっけー…って、結局ハサミだけかよ!」

「これだけあればいいでしょ。それに準備室に入れなかったんだから仕方ないでしょ」

「えぇ…まじで? ま、とりあえず殺傷能力は高いからハサミでも充分か」

「じゃ、体育館に戻る感じでおっけーッスか? っとと、邪魔だってー…のっと!」



そしてまさかの武器は、ハサミだけでした。いや、まぁ…何もないよりは大分マシだけど。むしろ、頭に突き刺せば一撃必殺出来るのはでかいよね。

しかも、なんだかんだで誰も怪我をしてない事に驚きだよね。ていうか、なんで無傷なのこいつ等、意味わかんない。

そして全滅させるには時間が掛かりそうで、嫌だったんだけど…このままこの量のゾンビを放置する訳にもいかず、出来る限り数を減らしてから体育館へと戻った。

ちなみにハサミを持ったお陰か小回りもきくし、全員が無双状態で笑った。あ、緑間は戦力外だからノーカンね。

この豆腐メンタルめ。



(てか、このメモないわー)
(ドロップアイテムがこれとかマジでクソ)
(情報としては重要だけどね)
(胸糞悪過ぎて笑う)
(…真顔なんだよなぁ)
(これ同一人物じゃないッスよね)
(多分、被害者って感じじゃん?)
(喰われた奴って事だよな)
(へ? 喰われたってなんすか? )
(はい、弘まじでクソー)
(ほんとクソー、ねぇわー)
(どうせ、このメモ見たならいいだろ!)
(まぁ、緑間も察してるみたいだし平気でしょ)
(…まぁ、なんとなくですが)

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