さよならと嗤う | ナノ
06*(3/4)


◆◇◆◇◆

あぁ…もう最悪。
マジで有り得ないんだけど。

湧き潰しをしたはずだが、湧きポイントが1つな訳もなく、ゾンビがわたしに寄って来る訳で…正直、かなり不味い。

ていうか、ドロップした黒いメモの内容も胸糞悪いし。マジでふざけんなって感じ。



「で、どうすんの? 体育館戻る?」

「……でもこれから先、武器がないとヤバいと思うんだよね」

「まだこのレベルなら素手でイケるけ、どっ! ま、辛くはなるよねー」

「明るいから探索はしやすいけど、ゾンビと戦うのが必須なのが問題だよね。そもそも、こっから体育館まで結構あるし」

「…わかった、1階で武器になりそうな物を取りに行こう。わたしと一哉と高尾でゾンビの相手するから、その間に武器を探して」

「俺も探索かよ!?」

「なんか出たらどうすんの。緑間は戦力外だし、健ちゃんと弘がいればどうにかなるでしょ」



正直、かなり緑間がお荷物になってるが…この際、無視だ。今は、次の探索の為に武器を確保したい。

体育館に戻って、次の探索時にまたゾンビが強化されてたりしたらマジで不味いし。今は、とりあえず…初期のゾンビより数発殴る数を増やせばいいだけだし。

最悪は、武器が見付からずに無駄足になるけど…今は体育館の方へ戻りつつ武器になりそうな物を見付けるしかない。ていうか、武器が手に入るならまじでなんでもいいし。



「高尾、軽くでいいから周りのゾンビの位置わかる?」

「え、まぁ…なんとなくわかる感じッスかね」

「おっけー。武器が有りそうな教室までなるべく回避したいから、立ち止まらないで走る。先頭頼める?」

「…りょーかいッス。真ちゃんの事…頼みます」

「しゃーないから真ん中に置いてやるよ」



そして高尾を先頭に走り出す。高尾の後ろにはわたしと弘、その後ろに緑間と健ちゃん、殿に一哉。

前から来るのはわたしと弘でどうにかするし、後ろからのは一哉が適当に相手をする感じ。もちろん、走ってるからただ障害物を退かす程度でトドメは刺さない。

今は、時間の無駄だし。

…それにしても、ちょっと舐めてたな。あいつを体育館から出さなければいいと思ってたけど、そんな単純な話じゃないな。というか、この廃校はあいつの庭みたいなもんだろうし…ま、当たり前か。



「あっ! さっきスルーした家庭科室がありました!」

「おっけーおっけー充分。弘が中の安全確認したら、緑間連れて健ちゃんもすぐに入って」

「おう」
「ん、わかった」

「あ、ちゃんと警戒して入ってよー? ドア開けた瞬間、頭ポーンとか笑えないから」

「犯人ジグソウかよ。一哉が足止めしてる間に、慎重にドア開けて入って」

「…千夏、無理しないでよ」

「この状況で無茶言うなバカ」



さすがに走り回って逃げてたせいで、かなりの足音が後ろから聞こえる。

たまに一哉の軽い掛け声も聞こえてたし、かなりの数がズラズラとわたし達を追って来てる訳で…それを完全に足を止めて相手をするってなれば、ねぇ?

腕が痛いとか言ってらんない。誰か1人でも欠けたら、そこから総崩れで全滅するのは避けたい。それに? こんな状況を作り出してるのは怪我して、血の匂いをぷんぷんさせてるわたしだし?

巻き込んでんのは、わたしだから…このくらいの無茶は、余裕でさせて貰いますけどね?

それにこうしてわたし達がゾンビの相手をしてる間に、もっと重要な情報を真や赤司が手に入れてくれれば万々歳だし。


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