05*(4/4)
んーんーん。
これは、埒が明かんな。
倒しても倒しても増え続けるゾンビに、流石の一哉と弘もイライラしてる。まぁ、弱いから余計にイライラするんだろうね、あの2人の場合。
とりあえず、なんか打開策はないと考える。幸い、一哉と弘が一撃必殺でゾンビ達を完膚なきまでにブッ飛ばしてるので、それなりに余裕はある。
んー、武器がないとなると…体力の消耗が激しいよなぁ。あ、そうだ。
「一哉ぁ! 机とか椅子ならどう?」
「はぁ? 取りに行く暇ないの見てわかんないの? バカなの?」
「八つ当たりすんな。つか、結構余裕ぶっこいてんのバレてるからな。 んで、わたしが移動したらゾンビはわたし追い掛けるじゃん。つまり、そういう事」
「……、ザキー! そっち強行突破行けるー? 無理なら瀬戸も行って」
「あぁ? 瀬戸が来れば余裕で行けるぜ!」
「って事で、健ちゃんよろしく!」
「有り得ないんだけど…。はぁ…高尾と緑間、千夏の事頼んでいい?」
「ウィッス!任せて下さい」
「…わかったのだよ」
おっ? 案外こいつ等、頭が良いのかもしれない。ていうか、今の会話だけで本当に意図を理解してくれたのか少し不安だが、まぁ…別にわたしも全く戦えない訳じゃないから大丈夫大丈夫。
むしろ、怪我の痛みを無視したら余裕でイケる。
そして嫌々、弘に加勢しに行く健ちゃんに笑いを堪えながら、弘と健ちゃんを見つめタイミングを見計らう。
…! 今だっ!
「ちゃんと付いて来てよ」
「ウィッス!」
「弘行くよ!!」
「おうよ。原と瀬戸、頼んだぜ!!」
「はいはい」
「はいよー」
ゾンビを蹴り飛ばした弘に声を掛けて、一気にゾンビ達の隙間を抜けてダッシュする。
ひえー、気持ち悪い。
そして見事にわたしに釣られてくれるゾンビ達である。なんなの? わたしの事大好きかよ。どんだけわたしに夢中だよ。
そして直線の廊下を暫く走り、弘に合図を送る。
「おい、緑間は残れよ。で、高尾は千夏な」
「ウィッス! りょーかいでっす!」
「わかったのだよ」
「きゃー弘頑張って!!」
「気が散るから黙ってろ…っての!!」
「ちゃんと戻って来てよー」
「わぁってるよ! おら、行って来い!!」
そして急なUターン。
弘が道を切り開いてくれて、その後ろを必死に付いて行ってゾンビの群れを抜けたらまたダッシュである。
ちなみに緑間は、後方待機的な。まぁ、どうせゾンビはわたしまっしぐらだからね。弘とすぐに後を追って来るでしょう。
で、準備出来てなかったらキレるからな。
「一哉ぁ! 健ちゃーん!! 行くよー!!」
「準備オッケーだよん」
「ちゃんと避けてよ」
「は? 当てたら殺すからね」
「え、あれ避ける感じッスか? ぶはっ…やべぇ!!」
廊下には倉庫から持って来た机やら椅子がズラァッと並べられていて、その前で準備万端で机を振りかぶってる一哉と健ちゃん。なお、バットはなかった模様。ま、前に一哉達が持って来ちゃったからね。
てか、ヤンキーかよ似合うなお前等。
そして一哉と健ちゃんが机を投げた瞬間に身を低くて、更にダッシュ。
おい、ギリギリ過ぎんだろ。ていうか、屈んでなかったら当たってたからな? おい一哉、"マジで避けてるしウケるー"じゃねぇんだよ。
そして机がクリーンヒットしたゾンビが倒れ、ドミノ倒し的な展開になり…追い討ちを掛けるように一哉と健ちゃんが机をシュート! 仕上げは椅子のビンタです、本当にありがとうございました!!
ちなみにわたしもイライラしてたので、八つ当たりで椅子で殴った上で更に椅子でゾンビを踏んであげました。ざまぁみろ。
(お、ゾンビ落ち着いた?)
(ぽいね。で、怪我とかは?)
(は? 余裕の無傷)
(ぎゃははっ! 千夏さんマジぱねぇ!)
(ていうか、ちょっと気になる事あんだけど)
(なに、なんかあった?)
(ゾンビ、分裂してる説ある?)
(は?)
(なんかさぁ、増え方が変だったんだよね〜)
(確かに。一気に全滅したら出て来ないし)
(え、なにそれきも)
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