さよならと嗤う | ナノ
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もうどのくらいの時間が経って、一体どれだけの人を殺したのかがわからないくらいには感覚が麻痺していた。

そんなわたしに真達は、何度も確認をする様に声を掛けた。



「…千夏の限界が近いな」

「こんだけ殺らされたら感情も死ぬでしょ」

「むしろ、俺等が異常な説」

「それな。特にザキと俺は全然余裕でヤバい」

「千夏、あと少しだから…頑張ろうな」

「…ん、」

「で、最後は桐皇かー」



健ちゃんが優しく頭を撫でる。
相変わらず、体はカタカタと震えているし…頭では嫌だって拒否してるけど、なんかもうよくわからなくなって来た。

実は、わたしは人間じゃなくて豆腐か何かを刺してるだけなんじゃないかとか…なんもまじで色々と麻痺して来てる。

もちろん、みんな殺される前に何かしたらわたしに言ってくるが、あぁ…へぇ、そうなんだ? くらいにしか思わなくなって来てた。



「こりゃあ、えらい刺激が強いわー。めっちゃ、えっちやん」

「この人、俺等より頭おかしいんじゃねーかな」

「目隠しで強要とか、もう最高にえっちやん。それに千夏は、顔は可愛い訳やし」

「今吉さんの性癖とか心底どうでもいいです」

「最後にとんでもない人が来たな」

「千夏、よろしゅうな」



そして気付いたらこれで最後だったらしい。

しかも今吉さんは訳のわからない事を言ってる上に、クツクツと笑いながらわたしの頬を多分…今吉さんが撫でた。

え、怖いんですけど。
違う意味で怖いんですけど。

その結果、なんか少しだけ冷静になれた気がした。というか、真の舌打ちが凄い聞こえるんだけど…え、なにが起こってんの?



「千夏、こっから出たら一緒に出掛けよな。ワシがなんでも奢ったるわ」

「千夏の急なモテ期に草」

「学校では常にモテ期だがな」

「可愛い後輩がこない頑張っとるんや、ご褒美あげなあかんやろ?」

「…さっきの発言のせいでご褒美が性的な意味しか聞こえなかった、たすけてザキ」

「いや、お前はもう手遅れだから諦めろ」



あぁ…なんか、すっごい冷静になって来た。

まぁ、ずっと一哉達はいつも通りだったんだけど…やっぱり今吉さんはさすがって言うか。

とりあえず、目隠しも耳を塞ぐのもそのままだけど…前みたいに震える事は、なかった。

感覚が麻痺してる訳でもなく、ちゃんとやらなきゃならない事として、しっかりしなきゃと思えた。



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