さよならと嗤う | ナノ
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体育館に着くなり今吉さんに頭を撫でられて、なんだか初めてのお使いをした子供の様な気分になっている。

尚、すぐに振り払った模様。



「で、後はわたしが全員をこのナイフで殺さなきゃならない訳なんだけどー」

「では、俺から殺して下さい」

「…また大胆だな。理由は?」

「ふふっ、志波さんに1番に殺されるなんて光栄じゃないですか。それに1番最初に殺された方が志波さんの記憶に残るかと思ったので」

「なにこいつ…ガチで怖いんだけど、たすけて真」

「知るか、殺せ」

「とんでもない会話してて草」



…いやいやいや。
さすがのわたしもドン引きだよ。なんでそんな嬉々とした目でわたしを見てるんですかね? なんなの? 赤司は実はMなの。え、キモいんだけど。

ていうか、あっさり受け入れて殺してくれとか、こいつやっぱり頭おかしいんじゃねぇかな。いや、まぁ…脱出するには殺さなきゃならないのは確かだけど、もう少し怖がるとか嫌がるとかあるだろうに。

わりとまじでドン引きしているわたしに、赤司がズイッと近付いて来て思わず真の背中に隠れる。え、なにこいつ、まじで怖いんだけど。



「ぶっ、千夏にまじで怖がられてうけるんだけど」

「怖がったり嫌がったりすると、志波さんが気に病んでしまうかと思ったんですが」

「お前の狂気に病みそうだよ!」

「ていうか、公開処刑スタイルでやんのかよ。千夏も見られたくねぇんじゃねぇの?」

「弘がまともで泣きそう」

「そうですね、ではどうしましょうか。医務室にて、1人ずつとかどうですか?」

「…ねぇ、こいつサイコパス過ぎない? しかも殺しても死ななそうなんだけど」



もはや、赤司の暴走が止まらなくて…わたしだけじゃなく、他の連中までドン引きするレベルである。

最初は、わたしに気を使って1番最初に自分が殺されますって言い出したのかと思って、根性あるなと思ったのに全然違ったからね。

ていうか、本当にわたしに殺される事に抵抗ないのも素直に怖いんだけど。確かに、赤司もメンタルは強い方だろうけど…さすがに死ぬってなったら嫌でしょ、普通は。



「まさか、そんなに引かれるとは思いませんでした」

「いや、普通の奴は引くだろ」
「当たり前なのだよ」
「赤司っちでも…さすがに」
「でも赤ちんだし〜」

「え、なんなのお前達、自殺願望者なの? なんで前に出て来たの?」

「あんた、俺等を嫌いだって言ってたろ。だから、俺等ならサクッと殺れんじゃねぇかって話になったんだよ」

「本当に自殺願望者じゃねぇか」



ていうか、普通に自分達がわたしに嫌われてるのを自覚してるのがうけるんだけど。

いや、別に隠したりしてないから気付かない方がおかしいんだけどさ。



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