さよならと嗤う | ナノ
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白いナイフを突き刺すと、クローンの体はサラサラと砂の様に消えていった。それと同時に研究員とオルゴールも同じ様にして消えた。

そして黄色い水晶玉だけが、ポツリとベッドの上に残った。



「…躊躇もクソもなくてちょっとビビった」

「いや、死んでるし。それに見てたくなかったから、早く消えて欲しかった」

「……千夏、大丈夫?」

「大丈夫もなにも、確かにわたしのクローンだったけど、わたしには全く関係ないし関わってないからね。それに、何度も殺したいって思ってた相手だし」

「ふはっ、むしろ問題は次だろ」

「………確かに、ね。とりあえず、戻ろうか」



わたしを心配する健ちゃんには悪いけど、わりと本気でなんとも思ってない。むしろ、わたしは良い事をしたからね。解放してあげたんだから、全然気を病むつもりはない。

そもそも、わたしはまだ腹が立っているんだよ。真の言葉の通り、次が問題過ぎてな。

なんでそんな脱出方法にしたんだよ、絶対に研究員は許さねぇからな。お前、本当に地獄に落ちて2度と人間になるなよ、このクソやろう。


そして体育館に戻ろうと部屋を出ようとしたら、真っ赤な紙が1枚どこからともなくヒラヒラと落ちて来た。

" みんなに愛されてて羨ましかった "

そう書かれた紙を見つめていたわたしが心底嫌な顔をしてたらしく、真が紙を覗き込み笑うとその紙を投げ捨てた。



「自惚れんなよブス」

「何も言ってねぇよクソ眉毛」

「調子乗んなよブス」

「乗ってねぇよクソ眉毛」

「つーか、千夏を愛すとかそんな強者いないよねー」

「確かに」
「無理がある」
「ないね」

「お前等、ほんとなんなの? 実は、わたしの事大好きな癖にさぁー」

「「「「「…………」」」」」

「黙るのやめろよ、しね」



多分、最初は研究員しかいなかったから研究員に愛されようと必死だったんだろうね。

で、この世界に来て色々な人間と触れ合って…誰でもいいから自分を愛して欲しかったんだろうね。

だから、仲良しごっこ大好きなイイコちゃん達のところに行ったのか。ある意味正解だけど、ある意味不正解である。

あんな薄っぺらい奴等は、すぐに裏切るよ。自分が可愛いから、仕方がなかったとか言い訳ばっかりして善意に見せ掛けた悪意しかないから。

いや、だからこそ余計にわたしに噛み付いて来てたのか。

…ははっ、やはりわたしは愛されている様だな。さすがは、千夏様だ。



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