さよならと嗤う | ナノ
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体育館に着くと既に赤司達は戻って来ていて、千夏もすぐに目を覚ました。



「つまり、演奏中に色々な物を見せられてたって事?」

「うん。まぁ、かなり断片的だったけど」

「で、クローンの父親である研究員が…クローンを殺したところで気を失ったって事か」

「多分、そんな感じ。で、水晶玉が集まったから箱も普通に開いちゃったけど」

「つーか、訳わかんなくね? 千夏が見たその映像が本当なら、クローン女は死んでるって事?」

「多分だけどね」



そして無事に集めた水晶玉で箱を開けると、千夏が白いナイフを取りだしてまじまじと観察している。

それにしても、クローン女が既に死んでるとなると…残りの水晶玉はどうなる? そもそも、その白いナイフでクローンを殺すんじゃなかったのか?

……いや、違うな。
なるほど、そういう事か。



「千夏、お前もうクローンがいる場所がわかってるな?」

「……うわぁ、もう気付いたの? 引くわー」

「クローンが死んでるってところでな。それと、今までのクローンの動きでな」

「えぇ? なになに、全然わかんねぇんだけどー」

「説明するのだりぃ。簡単に言えば、今のあのクローン女にはもうなにも出来ない上に動けない」

「え、なんで?」



いや、だから…クローンは死んでるって言ってんだろうが。

で、クローンには効いて俺等には効かない武器。そして俺等とクローン本体を殺すには、その白いナイフを使わなければならない。

そもそも、水晶玉を手に入れる為にはクローンを " 刺す " と書いてあった。つまり、殺せとは言っていない。

なのに、俺等の場合は全員を " 殺す " とあった。

つまり、クローンは既に死んでいるので殺す必要がないという事だろう。



「クローンは、図書室にいるはず。多分、隠し部屋があるか普通に準備室とかにいると思う」

「……あー、だからあんなに図書室に執着してたの? 自分の本体があるから」

「多分だけど、わたしあのクローンと軽くリンクしてんだよね。で、そこに研究員もいるはず。まぁ、死んでるんだけどさ」

「死んでんのにいんの? つか、クローン殺したの研究員なのに?」

「で、その研究員はクローンに殺されたみたいだよ。ていうか、多分本体のところに行ったらわかると思う」

「???」



訳がわからないといった様子で原が頭を傾げながら、俺を見てきたので無視した。

説明すんの面倒くせぇから、却下。

そもそも、俺も全部を把握した訳じゃねぇよ。つーか、千夏も頭ん中で見た映像だけで、全てを説明するのは難しいんだろう。



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