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っ、絶対に殺す、こんのクソ眉毛っ…!!
突然、勢いよく包帯を取られたせいで腕に激痛が走り、思わず膝をつく。
「なるほど、確かに本当に怪我はしているみたいですね」
「…花宮、包帯の取り方もう少し優しく出来んかったんか」
「時間の無駄ですし。多分こいつに寄ってくると言うよりは、血の匂いで集まって来てる感じだな。うちの山崎もやたら追われたらしいが、小さいが怪我してたみてぇだからな」
「…血の匂い、か」
「弱った奴から確実に殺すのが一番効率がいい。試しにこいつの血が付いた包帯を持ってたが、反応はなかった。つまり、そういう事だろ」
おい、わたしの心配はなしか。本当にふざけんなよ! ていうか、本当に怪我してるかの確認ってなんだよ。どんだけ信用されてないんだよ、ふざけんな。
余りの痛さに腕をまた強く掴みながら、ゆっくりと立ち上がると真が眉間にシワを寄せた。
「っ、…ムカつく。もう絶対に…情報提供してやんない」
「ちょ、顔真っ青やんけ」
「ずっと貧血なのと、まともな薬もない状態でこの怪我の痛みに耐えてるんでね。そりゃあ、こんな顔にもなるだろ」
「それよりも手当てを」
「はっ…、本当に怪我してるのかも疑ってた奴に手当てとかされたくねぇよクソが」
別に疑う事は悪い事じゃないし、そもそもわたし達は、日頃の行い的に疑われるのは仕方ないってわかってる。
わかってるけど、この引かない痛みとか…なんかもう、本当にムカつく。こんなに痛いのに、本当に怪我してるか疑われるとか…マジで、なんなの。
理不尽なのはわかってるけど、ムカ付き過ぎて泣きそう。わたしが怪我したのが悪いけど、ムカつく。
「ですが、」
「…っ、触んな! 真、もうわたし戻っていいよね」
「あぁ」
「ちょい待ち。千夏、なんか情報あるんやろ? 教えてくれへんか」
「…っ、いやです…!」
「また貴女を疑う事になるかもしれませんよ?」
「は? 最初から疑ってる癖にふざけた事抜かしてんな。今更、あんた達にどう思われようと関係ないね」
い、痛いっ…痛い。
ドクンドクンと脈を打つ度に腕に激痛が走る中、余裕の表情をしている赤司を睨み付け、足早にその場から離れた。
ムカつく…ムカつく、ムカつく、ムカつく!!
痛みを誤魔化そうと更に腕を掴めば、ぬるりと血が指の隙間から流れてくるのがわかる。
もう本当に嫌だ。
痛いし、ムカつくし、ウザいし。
「はい、だめだよ」
「っ…かず、や…」
「また血出てるし。その強く掴むのやめなって…」
「痛いよな、ごめんな。次の探索で、もっとまともな薬探して来るからよ…」
「だから、千夏…そんな泣きそうな顔をするな」
「ブスが更にブスになるよん」
「一哉まじでうざいし」
強く腕を掴む手を一哉がゆっくりと解くと、わたしの頭を乱暴に撫でた。
もうやだ、お前等…っ! こんな時ばっかり優しくしたりして、本当にムカつく!
だけど、やっぱりお前等の事はなんだかんだで、好きだよ…バカやろう。まぁ、絶対に泣いてなんかやらないけどな!!
(花宮、容赦無過ぎじゃない?)
(それも計算のうちだから)
(…利用された、と?)
(まぁ、そうなるよね)
(あの眉毛…マジで許さねぇ)
(でも怪我は本当だって証明になったし)
(まぁ、あんだけ血流してたらね)
(床血塗れで汚いよね)
(一哉、マジでしね)
(まぁ、千夏が元気過ぎるから疑われもするよな)
(探索も行ったしな)
(結局、わたしのせいかよ)
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