さよならと嗤う | ナノ
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医務室に戻るなりガタガタとベッドを移動させて、ベッドに座りながらみんなで真達が持って帰って来た本を見つめる。

尚、怪我をしていない真は椅子に座ってベッドに囲まれてる状態だ。なにこれ、いじめ? ちょっと笑う。

で、真と同じく怪我をしてない弘は少し離れて立ってる感じで。健ちゃんは疲れたみたいで、ベッドに座りながら寄り掛かってて動く気がなさそう。



「まずは、マコトが確認してから判断すべきじゃないか? それでから、俺等に教えてるかどうかを決めるといい」

「せやな。花宮、確認してくれ」

「おい、千夏も確認しろ」

「えぇ…嫌だなぁ。嫌な予感しかしない…」

「千夏が発狂したらぶん殴って止めるから、安心して発狂していいよー」

「花宮はザキが止めるてよね」
「弘が死にそう」
「むしろ、釣られて発狂しそう」
「うっせぇな! しねぇし!!」



そして真に寄り添うにして、本の中身を確認する。真程、速読は得意じゃないので真がわたしに合わせてページを捲ってくれてたんだけど…段々と頭が痛くなって来た。

そんなわたしにすぐに気付いた真が無言で " やめるか? " と問い掛けて来て、ふるふると頭を振った。

今更だ、今更。
ここまで来たら全部読んでやるからな。絶対にぶっ殺してやるからな、クソが。


◆◇◆◇◆


で、全てを確認し終わったわたしはベッドで撃沈していた。頭痛い、もうやだ。

本当にいい加減にして欲しいんだけど。無理難題言ってんじゃねぇぞ、クソが。



「千夏の様子を見る限り、かなりの情報だが…それなりにリスクがある感じか?」

「……脱出の仕方はわかった。だが、脱出方法がかなり難しい上に条件がかなり厳しい」

「ま、だよねー。でもあいつが必死に " ソレ " を俺等から奪おうとしてたって事は…それしか方法がないんでしょ?」

「千夏、イケんのか」

「やんなきゃ、脱出…出来ないならやるしかないじゃん」

「え、まさか千夏がまた犠牲になるとか言わないよね。もう…さすがに嫌なんだけど」



ずっと黙ってた健ちゃんが凄く苦しそうな顔をして真にそう言うと、真が諦めろと言わんばかりに頭を振った。

だってしょうがないし。
これしか方法がないってハッキリ書いてある訳だし。それに " 犠牲 " になるのは、なにもわたしだけじゃない。

まぁ、そこが1番の問題なんだけどさぁ。わたしだけなら…まぁ、わたしのクローンがみんなを巻き込んだ訳だし、しゃーないなって思えるけどさ。



「ここから脱出するには、千夏が俺等を全員殺す事が条件だ」

「………」

「…はっ?」

「いやいやいや…それは」

「…そんな事、させられる訳ないじゃん」

「…後で全員に説明はするが、お前等には先に簡単に説明してやるからよく聞けよ」



わたしが、全員を殺す。

そもそも、この状況事態が異常な訳だし、理解したくないけど…理屈はわかったけどさ。

ちょっと荷が重い。
いくらなんでも…キツイ。

ていうか、前にわたし達が予想してた脱出方法と全然違う件について。全く、意思関係ねぇじゃん。いや、五行思想には他にも色々と意味はあるけどさ。



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