さよならと嗤う | ナノ
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で、一通り(?)わたしを堪能した6人は大分息も落ち着いた訳なんだけど。

尚、途中で陽泉の連中が普通に合流というか混ざって来てるが、紫原と氷室がいる時点で気にしたら負けである。



「これどうするか迷うよねー」

「別に教えなくていいんじゃなーい? 俺等が頑張って手に入れた訳だし。どうせ知っても役に立たねぇじゃん」

「紫原が地味に辛辣で笑う」

「千夏、今吉さんは起きてんのか?」

「うん、起きてるよ。赤司は、まだ寝てたっぽいけど」

「じゃあ医務室に行くぞ。ここで話してても怪我は治らねぇからな。氷室と原は、ベッド使えよ」



え、また一哉は怪我したのかよ。お前さぁ…わたしも人の事は言えないけど、怪我するの大好きかよ。なんで、氷室と一緒に怪我してんだよ。

そんな事を思ってるわたしに一哉がドヤッと言わんばかりに、腕と腹を見せて来たので蹴りを入れてやった。

なに普通にナイフで攻撃されてんだよ、避けろよバカ。絶対にそれナイフでやられただろ。しかも、あの化物ナイフ。

尚、悪夢を見るかは傷口の周りが変色してる時点でお察しである。



「有り得ないんですけどー。怪我人を蹴るとかまじクソかよー」

「イラッとしたから仕方ないね」

「つーか、テメェと古橋もなにフラフラしてんだよ。寝てろっつったよな?」

「さーせん」
「すまない」

「ザキ、半分持って」
「おう」

「ていうか、見た時に思ったけど…まさか一気に探して来たの?」

「あ? 当たり前だろ、バァカ」

「なんて無茶しやがる…」



いや、まぁ…時間がないのは確かだけどさ、あいつが回復する可能性もあったし。ていうか、わたしが伝えた話も確証はなかった訳で…なのに、それでもしっかり情報を持ち帰って来る辺り、やっぱり真達だよなぁ…と感心した。

いやぁ…まじで図書室が鍵開いててよかった。さすがに今の状況で無駄足とかだったら、怪我だけじゃ済まなかっただろうし。あいつもなんか、必死っぽいし。

ていうか、よくよく考えたら…なんであいつ体育館に入って来ないんだ? 前までは普通に入って来てたというか、普通に過ごしてたよね。

アレかな、イレモノが壊れてるから無理とか? そもそも、あいつ本体は体育館に入れない可能性?



「おい、ブス。早くしろよ、こっちだ」

「ブスブス言い過ぎなんだよクソ眉毛。ツンデレかよ」

「ブスにブスって言ってなにがわりぃんだよ。つーか、腕は痛くねぇのかよ」

「いや、かなり痛いよ。歩く度に痛いし運んで欲しいくらい」

「調子乗んなドブス」

「でも肩は貸してくれんだ。まじでツンデレ、真のデレ期がやばい」

「このまま投げ飛ばしてやろうか」

「やめろやっ…うわっ」

「俺が運んであげるー。俺、大して何もしてなかったしー」



なんていういつも通りのやり取りをしていると、何故か紫原がわたしの事を軽々と抱えた訳だが。

いや、わたしは米俵か何かかよ。もう少しマシな運び方あるだろ。

で、一哉はパンツパンツうるせぇんだよ。堂々と見てんじゃねぇぞ。そんなわたしに福井さんがソッとセーターを掛けてスカートを隠してくれて、やっぱり福井さんはまともだと思った。



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