さよならと嗤う | ナノ
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腕の痛みで目が覚めて、また痛みで目を覚ますとかまじでふざけんなと思いながらも、なんだか気持ちは穏やかだった。

だけど、そんな気持ちをぶっ飛ばす爆音が遠くから聞こえて来て思わず、勢いよく起き上がる。

今の音っ…!!



「うわぁっ…志波さん!!」

「っ…うっ、邪魔っ…退けろ」

「ダメッスよ動いちゃ!! 古橋さんも見てないでっ…ちょちょちょ! 古橋さんまで!?」

「康次郎っ…」

「あぁ、わかってる。だが、支えてやれないぞ」

「っ…要らないし。康次郎こそ、支え欲しいんじゃないのー?」

「…ふっ、必要ないな」



左腕を押さえながらベッドから出て、何故かわたしに付き添ってた黄瀬を退かして医務室を出ようとする。それに康次郎に続くように脚を引き摺りながら後を付いて来る。

が、それを止める様に今度はベッドから腕が伸びて来てわたしの腕を掴んだ。

ゆっくりと視線を落とすと、険しい顔をしてわたしを睨んでいる青峰が腕を掴んでいた。お前は、大人しく寝てろよ。

そう思いながら腕を振り払おうとした瞬間、聞き慣れた声が響いた。



「青峰、離したり。千夏、手は貸さへんでいいんやな?」

「はい、大丈夫です」

「ほーか、じゃ迎えに行ったり。随分と派手にやっとるみたいやからな」

「はい、すぐ戻ります。んな顔して睨むなよ、別に体育館から出たりしないから、大丈夫だっつーの」

「あんた、死にそうで…見てらんねぇんだよ」

「わたしってば、しぶといから。康次郎、行くよ」



青峰なりにわたしを心配してくれたんだと思って、珍しく素直に受け取りつつ…腕を掴みながら体を引き摺る様にして医務室から出た。

そして更に聞こえてくる爆発音に思わず笑いそうになるが、それは康次郎もそうだったらしく…2人で顔を見合わせてから体育館の出入り口へと向かった。

体育館内にいた連中がざわ付くが無視だ、無視。ていうか、あの爆発音でざわ付いてる可能性。

そしてやっとの思いで出入り口に着いて、康次郎と壁に寄り掛かりながら真達の帰りを待った。

大丈夫、きっと真達なら帰ってくる。


そして近付いてくる爆発音にゆっくりと体育館のドアを開けると、こちらに走って来る真達の姿と…その背後から見える、身の毛もよだつ様な化物の姿。

そいつが、キッとわたしを見た気がして思わず康次郎にしがみつくと、康次郎がわたしの頭を撫でた。

なんか、みんなデレ期到来してない? 千夏ちゃん、ちょっと痛みとかで弱ってるからやめて、泣いちゃうから。うざい系女子になっちゃうから、まじでやめて。

そして必死にこちらに向かって走って来る真達に向かって叫んだ。



(っ、…次、ラストっ…)
(氷室、踏ん張れよ!)
(室ちん頑張って、あと少し)
(はぁ…紫原、そのまま先導しろよ)
(え? わかった)
(ったく、カッコ付けた癖にさァ…)
(はははっ、予想外過ぎてね)
(ま、だよねー。まじで化物過ぎて笑えない)
(おい原、無理すんなよ)
(わかってるってー)
(ちょ…体育館の出入り口に千夏ちんいるけど)
(は? あのバカっ…)
(普通に古橋もいるし)
(原、氷室、わかってんな?)
(OK、任せてよ)(任せてー)

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