34*(3/4)
どう見ても数が多い。それにあの姿を見る限り、替えを用意する余裕がなかったらしいな。
つまり、どうしてもこの本を俺等に見たられたくないらしい。まぁ…嫌がらせに今、俺等が中身を読んだところであいつは俺等を殺す事に躍起になるだけで、状況は変わらねぇしな。
はぁ…結局は、安全にはいかねぇか。
「必死過ぎてうける。つーか、手榴弾で強行突破でよくない?」
「1人5発持ってるはずだから、全部で30発あるんだろ? イケるんじゃね?」
「まぁ、イケなくはないよね。でもここ、3階だからね。階段を駆け下りてる時に襲われたら面倒だよね」
「それは、もう気合いで乗り越えよう。殿は俺がするから、後はマコトの指示に従うよ」
「テメェ、わかってんのか?」
「あぁ、もちろん。それに俺にもプライドがあるからね、このくらいの罪滅ぼしはさせてくれるだろう?」
ニコリと胡散臭い笑みを浮かべながらも、目は真剣そのものでもう氷室には言うだけ無駄だと悟った。
間違いなく、危険なのは先頭と最後尾だ。特に最後尾は後ろからの追撃が確定している。まずは、手榴弾で入り口にいるゾンビとクローン女を吹き飛ばしてから、一気に駆け抜ける。
粗方は吹き飛ぶだろうが、あのクローン女は多分死なない。多少は、動きを止めるだろうが…原やザキが言うには、どんなに手榴弾を当てても " 追ってくる事は止めなかった " らしいからな。
で、あの状態だ。
人間の形を辛うじて維持している程度の肉の塊。なにをしてくるか、正直わからねぇ。
「先頭は、俺と紫原でいいよん。で、ザキは花宮と瀬戸を死ぬ気で体育館まで運べよ」
「ん、いいよ〜」
「最悪、俺達は見捨てていいから。絶対にソレ体育館に持ち帰ってよね」
「また…原は、そうやってさぁ…。死に急ぎ過ぎじゃない? 千夏に怒られるよ」
「大丈夫大丈夫ー。千夏に怒られに戻る気はあるから」
「怒られるの前提かよ」
「それに、本当は俺が殿であのクソ女を痛め付けたかったんだからさァ。氷室、絶対にこっち近付けさせんなよ」
「OK。死んでも行かせないよ」
手榴弾は、全部30発。
十分な数なはずだが、何が起こるかわからねぇ以上は…無駄には使えねぇ。
手榴弾を使う際は声を掛けて投げる事を指示して、今か今かと俺等が出て来るの待っているクローン女達を見据える。
まずは、2発。
そして原と紫原がピンを抜いてクローン女達に向かって手榴弾を投げた瞬間、俺達は図書室から飛び出し激しい爆発音の中を走り出した。
後は、なるようになれだ。
計算も予想も、ここじゃなんの役にも立たねぇ。
やれる事をやれるだけやるだけだ。
prev /
next