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図鑑の棚には特に何もなく、心理学や遺伝子関係の棚にも何もなかった。
…なんだ、他に何がある?
人間らしさがない。
愛情に飢えてる。
千夏を恨んでる。
千夏を羨んでる。
母親がいない。
クローンの事なんてほとんど知らねぇ俺等からすると、比べる情報が少な過ぎる。
「えぇ…なんか他にある? 逆に千夏の事、あげてく?」
「容姿端麗、文武両道、才色兼備」
「なんか色々被ってるし。え、四文字熟語で縛ってんの? なら唯一無二とか」
「お前、千夏の事好き過ぎだろ」
「いやいや、花宮こそ」
「ちょっと、花宮も原もなにコントしてんの? こっちは、TとWは見付けたんだけど」
頭を働かせ過ぎたのか、原ともはやバカな会話をしていたら健太郎に聞かれてたらしく、声を掛けられた。
つーか、お前等は見付けるのが早過ぎだろ。逆にどこにあったんだよ。なんでそんなあっさり見付けてやがる。
とりあえず、健太郎は思い付くとこから片っ端から探してたらしく、俺等みたいに狙い撃ちをせずに探した結果見付かったと。あの健太郎が効率より確実性を選ぶとはな。
で、他に思い当たるところはないか聞くと…まさかのザキが口を開いた。
「絵本とか、どうだ?」
「理由、早く」
「小さい頃って嫌でも絵本読むし聞かされるだろ? だから、絵本かなって。しかも、最初は絵本で色々と学ぶじゃん子供って」
「え、ザキがまとも。まさかクローン?」
「うるせぇよ! 絵本の棚!!」
「早く探すぞ」
「多分、Uで最後のはずだから」
そしてザキの提案で絵本の棚に来て、4人で本を探す。
パッと見は、何も無さそうに見えた絵本の棚だが…よく見たら変な事に気付き、薄い絵本を抜き取る。
そして中を見れば、U(2/3)の文字。
なるほど? 随分と手の込んだ隠し方してやがるな。
「Uはバラけてる。後、2冊だ」
「ん、あったよ」
「あっ、ザキそこ!それ多分当たり」
「お、これか!」
「一先ず揃ったな。とりあえず、これで1度戻るぞ。本は、健太郎が全部持ってろ。何があっても離すなよ」
「わかった」
「氷室、紫原! 急いで戻るぞ!!」
そして入り口で待機している氷室と紫原の元へ向かうと、何故か氷室が腕を出して俺等を制止した。
そこで入り口の異変に気付き、健太郎を後ろに下げる。
なるほど、本当に図書室には入って来れねぇみてぇだなァ…? この化物クローンが。
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