さよならと嗤う | ナノ
34*(2/4)


図鑑の棚には特に何もなく、心理学や遺伝子関係の棚にも何もなかった。

…なんだ、他に何がある?

人間らしさがない。
愛情に飢えてる。
千夏を恨んでる。
千夏を羨んでる。
母親がいない。

クローンの事なんてほとんど知らねぇ俺等からすると、比べる情報が少な過ぎる。



「えぇ…なんか他にある? 逆に千夏の事、あげてく?」

「容姿端麗、文武両道、才色兼備」

「なんか色々被ってるし。え、四文字熟語で縛ってんの? なら唯一無二とか」

「お前、千夏の事好き過ぎだろ」

「いやいや、花宮こそ」

「ちょっと、花宮も原もなにコントしてんの? こっちは、TとWは見付けたんだけど」



頭を働かせ過ぎたのか、原ともはやバカな会話をしていたら健太郎に聞かれてたらしく、声を掛けられた。

つーか、お前等は見付けるのが早過ぎだろ。逆にどこにあったんだよ。なんでそんなあっさり見付けてやがる。

とりあえず、健太郎は思い付くとこから片っ端から探してたらしく、俺等みたいに狙い撃ちをせずに探した結果見付かったと。あの健太郎が効率より確実性を選ぶとはな。

で、他に思い当たるところはないか聞くと…まさかのザキが口を開いた。



「絵本とか、どうだ?」

「理由、早く」

「小さい頃って嫌でも絵本読むし聞かされるだろ? だから、絵本かなって。しかも、最初は絵本で色々と学ぶじゃん子供って」

「え、ザキがまとも。まさかクローン?」

「うるせぇよ! 絵本の棚!!」

「早く探すぞ」

「多分、Uで最後のはずだから」



そしてザキの提案で絵本の棚に来て、4人で本を探す。

パッと見は、何も無さそうに見えた絵本の棚だが…よく見たら変な事に気付き、薄い絵本を抜き取る。

そして中を見れば、U(2/3)の文字。

なるほど? 随分と手の込んだ隠し方してやがるな。



「Uはバラけてる。後、2冊だ」

「ん、あったよ」

「あっ、ザキそこ!それ多分当たり」

「お、これか!」

「一先ず揃ったな。とりあえず、これで1度戻るぞ。本は、健太郎が全部持ってろ。何があっても離すなよ」

「わかった」

「氷室、紫原! 急いで戻るぞ!!」



そして入り口で待機している氷室と紫原の元へ向かうと、何故か氷室が腕を出して俺等を制止した。

そこで入り口の異変に気付き、健太郎を後ろに下げる。

なるほど、本当に図書室には入って来れねぇみてぇだなァ…? この化物クローンが。



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