さよならと嗤う | ナノ
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一応、薬は飲ませたが魘される可能性を考えて古橋には残って貰う。そもそも、古橋も足を負傷しててまともに動けねぇからな。

さっさと準備をして早いとこ図書室に向かわねぇとな。



「…っ、花宮さん、ちょっと…いいッスか?」

「あ? テメェはベッドで寝てろ。もう仕事はねぇよ」

「っ、すみませんでした…。また千夏さんを犠牲にする様な事、しちゃって…」

「はい、バカー。千夏は、高尾だからわざわざ助けに行ったんだし。つーか、千夏も大概、高尾の事すきだよねー」

「原さん…」

「それに無理言って押し付けたの俺だし? お前の事は、これっぽっちも責める気はないよん。つーか、生きて帰って来たし?」

「…ほんと、すみません。怪我、治ったら…また手伝うんで」

「いいからベッドに戻れ。それと薬が溜まったら飲んどけ」



俺が思っていた事を原が全部伝えたので、俺から言うことはない。そもそも、自分も重症でかなりの精神攻撃をされた癖に千夏に簡単に薬を譲ったテメェを責る気になんてならねぇよ。

それにお前が生きてたから、こうしてハッキリと千夏がクローンじゃないと言える。そしてあの女がクローンだと言い切れる。

それだけで、お前は充分役目を果たしてんだよ。

だから、うっぜぇからそんな顔して泣いてんじゃねぇよ。男の涙ほど醜いもんはないぜ?



「…花宮、すぐに行くんか?」

「えぇ、時間が惜しいんで。それで、なにか?」

「…4人で行けるんか?」

「他に誰か? この状況で、付いて来そうなあんたや高尾は無理だろ」

「なら、俺達なんてどうかな? もちろん、マコト達の指示にはきちんと従うよ」

「千夏ちんには助けて貰った借りがあるしー。化物をやっつければいいんでしょー?」

「な、なら俺も行くッス!!」

「えぇ…黄瀬ちんは無理じゃなーい? やめときなよ〜」



……氷室と紫原は、確かに戦力としては文句はねぇが。精神面に不安がある。俺達ですら、正直不安な部分が多いのに精神攻撃で動けなくなったりしたら、どうにもならねぇ。

まぁ、それを言ったら誰が行っても大丈夫なんて保証はねぇんだけどな。

それと黄瀬、テメェは役に立たねぇから来なくていい。むしろ、お荷物確定だ。



「……もちろん、使えなくなったら見捨ててくれていいさ。自己責任で付いて行く」

「ん、だよねー。ていうか、本当は1番探索に行っちゃダメなの千夏ちんだったんでしょ? だけどみんなに疑われてるから、危ないってわかってても探索してたんだよね」

「………」

「なら、俺等も危ないってわかってても行かなきゃでしょ? それにやられっぱなしはむかつくしー」

「…チッ、勝手にしろ」



そこまでわかってて黙ってたこいつに腹は立つが、逆に簡単に切り捨てる事が出来る。

それにその覚悟があるならいい。

俺等だって、死ぬかもしれねぇのに構ってられねぇからな。



(さっさと準備しろ、すぐ出る)
(えっ、俺は!?)
(要らないからお留守番しててねー)
(…っ、わかったッス)
(手榴弾を多めに持っとけ)
(わかったー)(OK)
(…花宮、場所はどこに行く気や?)
(図書室。まぁ、長居をする気はないんで)
(…わかった。気ぃ付けてな)
(千夏が起きたらよろしくお願いします)
(あぁ、任せてや)
(おい、行くぞ)
(うぃーす)(おう)(うん)

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