さよならと嗤う | ナノ
03*(3/4)


健ちゃんが言うには、体育館に入った時にあの女が目に入ったから他にも新しく人が来たのかと思ったら、あの女だけだったから変だと思って警戒してたらしい。

それと、あの女があやしいと思う材料がもう1つあったらしい。

それが、このくしゃくしゃになった黒い紙に白文字の小さなメモ。



「これね、まだ花宮に見せてないんだけど。倉庫にあったメモ」

「えっ…うわぁ、確定余裕でした」



《"仲間はみんなあの女に喰われた。気付いたら俺等の輪に入っていて、なんの違和感もなかった。優しくて可愛くて…だから、信じたかった。だけど、あいつは人間じゃなかった。みんな、みんな…喰われた。体を奪われたもう逃げられない"》


もはや、黒幕はあの女で確定じゃねぇか。つーか、まさかの"人間じゃない"ってなに? てか、喰われたって物理的に?

そもそも、体を奪われたって何事? 体を奪われたら逃げられないって、当たり前じゃない? ていうか、もうあいつ殺した方が早くない?



「…これ、他の奴等にも見せた方がいいんじゃねぇのか?」

「タイミング最悪でしょ。さっきの会話からこんなメモ出したら、千夏が仕組んだって言うやつが出て来ると思う」

「それにまだ証拠もなにもないしねー」

「うん。そもそも、このメモを俺等が見付けたのが間違い」

「それは一理ある。信用ないからね、うちら」

「陥れるプロだからね、仕方ないよねー」



だけど、このメモがあったのは倉庫のゴミ箱の中らしいから他の奴等が見付ける可能性は低い。しかも健ちゃんは、ゴミ箱ん中の紙切れは全部見たらしいし。

つまり、探索の時間を全てゴミ箱に掛けていたと…お前、凄いな。あんな薄暗い中、頑張ったな。

ていうか、わたしもさすがにゴミ箱の中は見なかったわ。普通に目に付くもの探してたし。



「あ、そういえば」

「おい、千夏。こっち来い」

「はい、花宮からのお呼び出しー」

「変わりに俺が帰ってきたが」

「え、なに? わたしがあの頭脳班に行く意味あるの?」

「頭脳は関係ない。行けばわかる」

「えー、行きたくないんだけど」

「いいから行って来いよ、花宮が睨んでるし」



ていうか、用があるならお前等が来いよ。

仕方なく立ち上がり、重たい足取りで真達の元へ向かう。はぁ…今吉さんは嫌いじゃないけど面倒臭いから嫌だし、赤司とキセキの時点で論外。

そんな事を思いながら、嫌々3人の元に着くと真がわたしの腕から勢いよく包帯を取った。


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