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そしてどうにか体育館まで着くと、そのまま真がわたしを抱えたまま医務室へと向かう。
周りからの視線とか気にする余裕がないくらい、意識が朦朧として…やばい。多分、これ意識失ったらやばい、やつ。
左腕が暴れるやつ。
で、ベッドわたしを下ろすとすぐに悪夢消しを手に取った。いや、悪夢消しで消えるかなぁ…これ。しかも、それ高尾が飲もうとしてたよね?
「いいから飲め、早くしろ。すぐにナイフ抜く」
「んっ…。真、ちょっと待って」
「んだよ、」
「多分、これ抜いたら…意識飛びそうだから。先に言っとかなきゃかなって」
「……なんだよ」
「多分、あいつ…本体じゃない。だけど、姿を変えなかったから…多分代わりの体がないんだと思う。それに本体が死んだら…元も子もないから…本体ではノコノコわたし達の前に出てこないと思う。だから、当分は安全に動けるかも…しれない」
「あとは」
「あいつの本体…多分見付けないと脱出は出来ないと思う。で、本体の見た目…ちょっとわたしに似てるから気を付けてよ。後、図書室…になにかあると思う。クソ女が頭ん中でキャンキャン言ってたから」
頭の中で必死にクソ女の相手をしてた甲斐があって、色んな情報がわたしに流れて来たのは思わぬ収穫。
ていうか、本体が地味にわたしに似ててキレそう。
で、クソ女が図書室に立ち入れないらしい事と…お父さんがいるっていう言葉的に、多分かなりの情報が図書室にあるとみた。
しかも、重要な教室に鍵を掛けたのはクソ女らしいから…今のあいつは、代わりの体がない訳で…能力も使えない可能性が高い。だから、全教室が解放されてるかもしれない。
必死に痛みに耐えながら、全部の鍵が開いてるかも…と伝えてからゆっくりと目を瞑った。
「……健太郎、体育館にいる奴等を出来る限りここに呼べ」
「…ん、わかった」
「え、なっにな、に…? 公開プレイとか…ハードルたか、過ぎない?」
「花宮! 千夏は!?」
「大丈夫なのか!?」
「今からナイフを抜くとこだ。 一応、こっちに来とけ」
「あ、暴れ…ないって…た、ぶんっ…はっ…はぁ…」
あぁ、痛い苦しい。
腕が焼けて落ちそう。
そんなわたしを真は、無視する様にわたしを抱き寄せると背中からセーターを破っていく。
あぁ…なんか温かいなぁ。
激しい痛みと朦朧とする意識の中、無駄に真の心臓の音が聞こえてなんか笑えた。ははっ、緊張してるんですかね、真くんも。
…ほんと、こんな事やらせてごめんね。
もう自分で抜く勇気はない。咄嗟に勢いで抜くのとは違うから、絶対に痛い事はわかってるし。
怖くて思わず、トンッと…真の肩に頭を当てる。
そんなわたしに真は何も言わずに頭を撫でてくれた。真の貴重なデレだけど…それ以上に泣きそうだ。
で、健太郎が来たらしく…真がわたしにゆっくりと確認をしてくる。
「おい、舌噛み切ったら困る。タオル噛んどけ」
「んっ、一気に…抜いてよ」
「なら暴れんなよ」
「どっ…りょく、する」
「原、ザキ…タオル準備しとけ。健太郎は手でも握っててやれ」
「…おう」
「…ん」
「わかった」
健太郎が、今は大分制御出来る左手を握ってくれた。だけど、絶対に爪立てちゃうから握らなくていいのに。
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