さよならと嗤う | ナノ
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もう回復薬はないから、今吉さんもすぐに医務室に運びたいのに、なんで拒否すんのこの人。



「だから、話なら医務室で聞きますって言ってるじゃないですか! バカなんですか!?」

「ええから…先に他の奴等を頼む。ワシのミスなんや」

「……、赤司行くよ。肩貸して」

「…っ、すみません」

「おい、テメェ等も見てねぇで若松の事を運べよ。見殺しにする気かよ」

「紫原、ゆっくりだぞ」
「わかってるし。室ちんそっち持ってー」
「あぁ、OK」
「こっちアル」



で、動くのは陽泉かよ。
本当に腐ってんな。

まぁ…諏佐さんと桜井は気が動転して動けないのは、100歩譲って仕方ないけど。お前等は、動けるのに動かないのな。

だからお前等は、嫌いなんだよ。今、心配してんの誰だよ? どうせ、目の前のこいつ等じゃなくてまだ帰って来ない日向と伊月の心配してんだろ? ほんと、クソ過ぎて笑えねぇわ。

そして赤司に肩を貸して医務室に向かっていると、葉山と根武谷が来たので赤司の事を任せて戻って今吉さんの腕を掴む。



「はい、今吉さんの番です。素直に医務室に行って下さい」

「…あ、あぁ…わかっとる。すまん、」

「…悪夢消しの薬要ります?」

「い、や…ええわ」

「しっかりして下さいよ。わたしの事、守ってくれた今吉さんはもっとかっこよかったです」

「…っ、あほ」

「知ってますよ」



あの今吉さんがここまで憔悴するって事は、それなりの事があったに違いない。それに今吉さんは、 " ワシのミスなんや " と言った。

正直、今吉さんのミスだとしてもそれを責められる人間はいない。そもそも、今吉さんの指示に従った人間の責任でもあるから。でも、まぁ…今吉さんは上に立つ人間だから責任を感じてるんだろうな。

ま、でも青峰も生きてたから大丈夫大丈夫。こんな今吉さん見ていたくないから、早く妖怪に戻って下さい。



「千夏、」

「なんですか」

「すまんな。あんな、辛い思いして…探索してたんやな」

「いや、わたしそこまで探索では辛い思いしてないですよ」

「可愛くないわぁ…」

「精神攻撃された時は辛かったですけど」



多分、今吉さんもどちらかといえばメンタルお化けだ。その今吉さんがここまで、追い込まれるって事は、それなりの精神攻撃をされたっぽいな。

ていうか、赤司達洛山組は意識があったけど今吉さん以外の青峰と若松が意識がないのは…多分、そういう事だよね。

いや、逆に青峰と若松があの状態なのに意識ある時点でやっぱりこの人もメンタルかなりやべぇ人だわ。



「……後輩はキッツいわ」

「あ、もしかしてわたしと真だったりしました?」

「………」

「えっ…図星!? 今吉さん、わたしと真のこと好き過ぎません?」

「ないわ、あほ」

「唐突に冷たい。でも大丈夫ですよ、わたしは今吉さんは大丈夫だって思ってるんで」

「…ほんま、ずっるい女やわぁ」

「何を今更。だから、気にしないで下さいよ」



多分、一哉とか同じかな。
わたしが出て来た感じ。

ま、わたしは気にしてないんで今吉さんも気に病まなくてもいいと思います。

というか、一哉と弘を見習って下さい。



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