さよならと嗤う | ナノ
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いや、誠凛も面倒くせぇけど海常もクソ面倒くせぇな。いや、目の前にいる笠松の事なんだけどさ。



「俺も別にお前等を信用はしてねぇけど、頼りにはしてた。だから、色々と押し付けて悪かったとは思ってる」

「え、謝罪とか要らないんですけど。ていうか、食事中なんで帰って貰っていいですかね」

「ちょ、志波さん! 少しくらい話させて下さいよ!」

「黙れ、クソ犬。お前に発言権はねぇんだよ」

「酷いッス!」

「それにお前等が言ってる事は正しいと思う。だが、どうしたって力になれない人間だっている。そこは理解してくれ」



……ふぅん。
つまり、好きで何も出来ない訳じゃないんだから許せよって事ですか? やっぱり甘ちゃんじゃん。

そんなの関係なくやらなきゃ死ぬのが今の状況なんですけど? ていうか、別にわたし達は出来ない奴に出来ない事をやれなんて言ってねぇし。

何も出来ない癖に文句言うなって言ってんの。そこんところ、わかってますかね? 結果が出せねぇのに、頑張ってやってんだよって言われても困りますし。



「それはあんた等の都合だろ。それに俺等だって、出来ない事をやれなんて言ってねぇよ。ただ何もしてねぇ癖に、自分達の事を棚に上げて文句を言ってる奴等が気に入らねぇだけだ」

「……ま、お前達は今まで文句も言わずに探索してたからな。俺は、文句なんて言えねぇな」

「福井さんはよく理解してくれてる様で嬉しいです。わたし達はそのやれる事をしてるだけで、それをあんた達が当たり前だと思ってる上に文句ばっかりなのが腹立つって言ってるんですよ。わかります?」

「笠松先輩…」

「なるほどな、わかった。俺等の配慮が足りなかった事は認める。だからって、お前等が素直に許すとは思えねぇし。俺等を試してるって事だな?」

「それと少しは俺等の苦労を知れよって事。わかってくれますかねー?」

「原、煽るな」

「へーい」



で、納得したのかしてないのか知らないけど黄瀬を連れて去って行く笠松と、まだ何か言いたそうだった黄瀬。ま、別にわたし達から話す事とかないから帰ってくれ。

ていうか、今吉さんと赤司はなんて説明したんだよ。あの感じだと…詳しくは話してねぇな? 霧崎は、協力しなくなった的な? いや、それはさすがにないか。

いや、でもまじで詳しくは知らない感じだったし。笠松がまるで話を聞いてないバカだったなら仕方ないけど。それもないだろうし。



「福井さん、ちょっといいですか?」

「ん、なんだ?」

「わたし達の事、今吉さんと赤司からなんて説明されたんですか?」

「んー、まぁ簡単に言うと霧崎の連中に無理をさせ過ぎたからみたいな?」

「いや、雑かよ!! 今吉さんバカなの!?」

「逆だ、バカ。今吉さんと赤司なりに俺等に批難が集中しねぇ様にしたんだろ」

「優しいかよ」



あぁ、なるほどなるほど。
確かに、霧崎の連中がキレて協力すんの嫌になったから試させろって言われたから、霧崎なしで探索に行くで! とは言えないよな。

むしろ、そんな説明してたら医務室にみんな乗り込んで来るか。



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