さよならと嗤う | ナノ
03*(2/4)

◆◇◆◇◆

ふぅん…へぇ…で?

どうやらこの女は、わたし達が探索に行ってる時にこの体育館に逃げて来たとの事。

なんか1人で怖かっただの、ピーピーほざいてるが…クソ程興味ねぇんだけど。

つーか、その甲高い声やめてくんない? 耳障りだし、怪我に響く。つーか、悪化しそうだから喋んなマジで。



「だからっ…志波さんと仲良くなりたくて」

「だからの意味がまずわかんないし、わたしは仲良くなんてなりたくないから。他当たって」

「そ、そんなっ…でも女の子は少ないですし、こういう時こそ一緒に」

「マジで迷惑だから。ていうか、仲良しごっこなら他でやって。ウザいしキモい」

「ちょ、ちょっと! そんな言い方ないじゃない! 愛ちゃんは、あなたの事を心配して」

「は? それこそクソ迷惑なんだけど。あんた達に心配される筋合いないし」



あーはいはい、わかったわかった。もうピーピー煩いから、その女を連れてお前も早くどっか行けよ。ていうか、こんな状況で仲良しごっこしようとしてる時点で、頭湧いてんじゃねぇの。

そして無視を決め込むわたしに、誠凜の連中が舌打ちをしながら女を連れて行った。

周りからの非難の目も凄いが、こんなん気にしてたら霧崎バスケ部のマネージャーは務まらないからね。勝手にしろである。



「容赦無さ過ぎでしょ。ウケる」

「じゃあ一哉が仲良しごっこして来いよ」

「体だけの仲良しごっこならよろこんでー。あ、処女なら面倒臭いから却下で」

「クズ過ぎわろた」

「てーか、普通に変だよね。あいつ等、頭ん中ババロアかよって感じ」

「は? どういう事だよ」

「はい、ここにもババロア詰まってるバカがいるー」

「んだと、原ァ!!」



あ、やっぱり一哉も気付いた感じ? まぁ、健ちゃんも気付いてたから警戒してたんだろうけど。

だってさ、あいつの話なんかおかしいんだよね。1人で体育館まで来たって言ってたけど、ゾンビに会ったって言ってんのに無傷とか変じゃない?

百歩譲ってあいつが陸上部でクソ足が速いとしても、やっぱり変だと思う訳で…



「猫被ってるでしょ、アレ。なんていうか、相田と桃井みたいに怯えてないし変な余裕あるよね、あいつ」

「うん。普通の女の子なら1人でいる時に、ゾンビなんて非現実的なものに追い掛けられたらパニックになるんじゃないの」

「パニックなってない女がここにもいるんだよねー」

「千夏は、強がってるだけで動揺して転んだでしょ」

「まぁ、確かに」



いや、あれは動揺してたというか…まぁ、確かに驚いてはいたけど一哉と弘がいたから、わたしは思ったより大丈夫だったけどね。

むしろ、あれは一哉と弘がわたしの前を走ってたのが悪い。

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