さよならと嗤う | ナノ
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そして、こっちが食べたいだの量が少ないだのギャーギャーと騒ぎながらオムライスを食べていた訳だが。

不意に近付いて来た乱暴な足音にスプーンを口に運ぶのを止めた。



「ほら、釣れた」

「早すぎて草」

「お前等がうるせぇからだろ」

「まだ食べてる途中なんだが」

「お前がやったんだろ! つーか、それ俺のブロッコリー!!」

「代わりにトマトをやろう」

「要らねぇよ!!」



そしてそれはそれは愉しそうに笑っている一哉と健ちゃんに、全てを察した。

本当に性格悪いな、お前等。
わたしが言うのもなんだけど、さすがにこれは考えてなかった。いや、単純にお腹空いてたってのもあるけどさ。

みんなが探索に行ってて、心配やら不安やらでピリピリしている奴等にわざと手作り料理を見せびらかした上で、わたし達が楽しそうに食事をしている様を見せたんですね。

とんでもねぇゲスである。

しかも釣れたのまたお前等かよ、まじで帰れよ。



「あの、少しいいですか」

「え、見てわからないの? 俺等、食事中なんですけどー」

「…少しは、周りの方の事を考えたらどうなんですか。今、探索に出ている人達がいて…それを僕等は待ってるんですよ。なのに、なんでそんな余裕が」

「はぁ? お前がそれ言うの? クッソブーメラン刺さってるけど」

「ふはっ、こいつ等が探索行ってる時にお前等は楽しそうに談笑してたなァ? いかにも、俺等には関係ありませんって面で」

「俺等は、お前等がしていた事と同じ事をしてやったまでだが?」



ヤバい、クッソ吹きそう。

いや、確かにわたし達は悪い事はしてないよね。ただただ、楽しく食事をしてただけですし? そもそも、探索に出てる人達がいて…ってだからなんだよ。

しかも待ってるとか知るかよ。お前が勝手に待ってるだけじゃん。そもそも、そんなんわたし達に押し付けんなって話。

それに真や康次郎が言ってる通りで、わたし達が探索してる時はまるで関係ないって感じで談笑してましたよね? なのに、なに自分達の事棚にあげてわたし達の事批難してんの? このクソ共。



「お前達とは違うだろ! 慣れてねぇし、行きたくて行ってんじゃねぇんだからよ!!」

「ははっ、頭も悪い上に他人任せとかクソ過ぎてうける。行きたくないって理由で、探索に行かなくて済むなら誰だって行かねぇんだよ。まじ頭ン中ババロアかよ」

「で、でも…私達は探索に行ってなんて頼んでもいないし、強制もしてないわ」

「強制してないから悪くない? 誰も探索に行かないから、俺等が行くはめになってる事にすら気付いていないと?」

「…ふはっ。じゃあ聞くが、そもそもテメェ等はなんかの役に立ったのかよ? 探索も行かねぇで仲良しごっこしてるだけで、どうやったら脱出が出来るんだよ。教えてくれよ、なぁ?」



う、わぁっ…。
これは、ぐうの音もでない正論ですねぇ。

しかも、あれれー? 誠凛の監督さん泣きそうじゃないですかー? つーか、泣けば済むと思ってんじゃねぇぞ、クソが。

で、そんな監督さんに木吉が大丈夫だとかなんとか言ってるけど、気持ち悪いからよそでやってくれませんかね。

しかも、めげずに何故か居座る誠凛である。もう帰れよ。食事中だっつってんだろ。



(泣くとかまじで不快なんだけどー)
(そんな言い方はないだろ)
(なら泣けば済むと思ってんの?でいい?)
(お前等…本当に最低だな!)
(ブーメラン過ぎて笑う)
(千夏が死に掛けた時に談笑してた癖にね)
(ほんとな。お前等の方が人間として最低じゃね)
(い、生きてたじゃねぇか!)
(生きててごめんねー)
(脱出する気がねぇならずっと仲良しごっこしてろよ)
(ほんそれ。勝手に自分達でどうにかすれば?)

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