さよならと嗤う | ナノ
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高尾の言葉を真に受けた訳じゃないけど、一哉達がわたしの為にここまでしてくれたのは事実だから、ね。

なんて考えてたら、恥ずかしくなりました。やめろ、柄じゃないんだよ、バカめ。

で、一哉は高尾を連れてギャーギャーと医務室を出て行った訳だけど。



「ねぇ、健ちゃんは」

「俺は無理だったよ。頭ではニセモノだって理解してても、もしかして…とか色々考えちゃってまともに撃てなかった」

「そっか」

「だから、原とザキは本当に凄いと思うよ。ザキなんて、俺が助けたい千夏はここにはいない! とか言ってたし」

「ヒーローかよ」

「実際、俺と原はザキがいなかったら死んでただろうし。強ち間違ってないかもね」



一哉と弘は、本当に強いなぁ。別に健ちゃんが弱い訳じゃないけど、そこまで割り切れるのはやっぱりあの2人には自分に自信があって、絶対にニセモノだっていう確信を持ってるからだよね。

んー、それにしてもやはりメンタルお化け。まぁ、健ちゃんも言ってたけど…かなり無理してたみたいだけどね。確かに、数体なら日頃の恨みを込めて殺せそうだけど、さすがに何十体もってなると…キツいかな。

いくらニセモノだってわかっててもねぇ。

ていうか、まじで趣味悪い。精神攻撃は基本なんですかね? まじて悪役。まじでクソ。



「まぁ、俺等だけじゃなくて花宮も花宮達でかなり大変だったみたいだけどね」

「あの真が重傷な時点でそれはわかってるけどさ」

「古橋曰く、花宮らしくなかったって。本当に千夏の事になると、原も花宮も無茶するよね。まぁ、今回は俺等全員に言えるけどさ」

「わたしの事だいすきかよ…」

「さぁ? ただ、千夏が死ぬかもって思ったらね。千夏だって、原が死に掛けてた時…無意識だったでしょ?」



あぁ、うん…まぁそうかな。
真達がギャーギャーと騒ぎながら、一哉に必死に何かしてるのはわかってたんだけど…あの時は、まじでなんも感じなかったから。本当にただ見てただけ。

でも康次郎に薬を飲まされて、まだハッキリと状況は把握出来てなかったけど、一哉が死にそうなんだってわかったら自然と走ってたよね。

わたしに勝手に死ぬとか許さないとか言ってたのどこの誰だよ、って思いながら回復薬飲ませたよね。もはや、寝起き1発目にとんでもない仕打ちだよ。

せっかく正常に戻ったのに、目の前では一哉が死に掛けてるとかどんな悪夢だよって思ったからね。


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