さよならと嗤う | ナノ
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俺を含め全員がかなりの深手を負ったが、無事に薬を見付けて来た原達のお陰で千夏は、元の精神状態に戻った。

古橋曰く、薬を飲んだ瞬間に立ち上がり原達の方に走って行ったとの事。相変わらず、行動力だけはピカイチだな。



「あぁ…まじ疲れた。俺、多分一生分の千夏殺したわ」

「俺も千夏と原殺しまくったわ」

「メンタル強過ぎ問題」

「お前は豆腐メンタル過ぎんだよ、ふざけんなブス」

「わたし悪くないし! 変な呪いのせいだから!! でも、ごめん…なんか変になってる間の事は、全部覚えてるから」

「…千夏が元に戻ったんだから、もういいよ」



原と健太郎は倒れたままで、俺達は座り込んだまま…千夏が元に戻った事と、誰1人死ななかった事に安堵していた。

だが、傷は深い。
特に原は、回復薬で目を覚ましただけで…怪我は治りきっていない様でまだ息が荒い。

寝転んだままの原に千夏がゆっくりと手を差し出して起こすが、腹部の傷が痛むらしくまともに立ち上がれずにいる。

よくもまぁ…その怪我で生きてたな、お前。しぶと過ぎんだろ。

そしてやっと立ち上がった原がわざと千夏に覆い被さる様に寄り掛かり、千夏が色気のない声を出してギャーギャーと騒いでる。

そんな俺等の元に今吉さんと高尾と赤司が、タイミングを見計らっていた様で声を掛けてくる。



「全員、無事で何よりや。医務室やろ? 手ぇ貸すわ」

「ありがとうございます」

「花宮さんもまだ医務室ですよ」

「チッ…」

「原さん、俺も肩貸しますよ。ちょ、千夏さん潰れちゃいますって!」

「リアル千夏を確認してんだっつーの。もうニセモノとかまじ勘弁」

「わたしの事、大好きかよ」



まだ血が滲む怪我をしているのにも関わらず、ヘラヘラと笑いながら千夏とじゃれている原の元に向かう。

その後を赤司が見張りと言わんばかりに付いて来てるが、ちゃんと医務室には行くから安心しろよ。つーか、後を付いてくんな。

そして高尾と千夏に全力で体重を掛けているのか、無駄にふらふらとしながら原が歩いている。



「おい、原」

「んー? てか、花宮もボロボロでうける。なんかえっちじゃん」

「殺すぞ」

「で、なに? 俺も何があったか、詳しく話したいのは山々なんだけどさー。まずあの女は? いなくね?」

「あ? なんか急に頭から血が出たとかで医務室にいるぜ」

「へぇ…? ざまぁ、いい気味じゃん。つーか、まじで効いててうける」



原が心底嬉しそうに口を歪ませながら、笑い出す。

あぁ、なるほど。
やっぱりお前の仕業かよ。

俺と古橋は特になにもしてねぇ。つーか、そもそも俺等は医務室にいたし。

となると、間接的にあの女に攻撃した可能性があるのは原達だと思ったんだが…案の定、そうだったみてぇだな。

原の口振り的に単独か。


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