さよならと嗤う | ナノ
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…ははっ、まじで殺す。
絶対に殺してやる。

全ての額縁を破壊し終わり、激しく乱れる息を整えていると…目の前に現れたのは、またしても千夏。



「ねぇ、ワタシがクローンだって言ったら驚く?」

「…………」

「一哉も真もみーんな、ワタシに騙されてバカみたい。だから、ここでまとめて殺してあげるね」

「ははっ、クッソうける。お前が千夏? 姿だけ似せた化物が? 頭悪過ぎて笑えねぇんだよ、ニセモノが」

「……っ、ワタシはニセモノじゃない!! あの子はもう死ぬの! ワタシが千夏になるの!!」



…あぁ、もう何回目だよ。
どんだけ千夏に銃を向けなきゃなんないの。本当に勘弁して欲しい。

だけど、感情を露にする千夏の姿をしたニセモノの言葉に、思わず銃の引き金を引くのを止める。

今、こいつ…なんつった?
千夏がもう死ぬ?

なんでそんな事、こいつが知ってんだよ。あのクソ女は、絶対に体育館にいるはず。で、目の前のこのニセモノは…多分、石像か絵の化物なはず。

だけど…もしかして、



「ふふふっ…心が壊れたらワタシのモノになる。何も考えられないあの子は、抵抗しない」

「……ふぅん。じゃ、お前が死ねば解決じゃん」

「…っ!! な、んで…い、痛いっ痛いぃぃぃ!!」

「はは、いい気味っ…! くっ…まじで、っ…ただの化物じゃん。つーか、死ねっ…よ」

「……っ、ゆる、さない!! ワタシがワタシがっ…――――」



その言葉を最後にピタリと動かなくなる千夏のニセモノに向かって、意地で銃を撃ち込み破壊する。

へぇ…リアルタイムで会話してるっぽかったから、もしかして体育館にいるあの女とリンクしてるのかと思ったら、ビンゴ。

で、容赦なく頭を撃ち抜いたんだけど死なねぇっていう。しかも、銃で反撃食らったし。

撃ち抜かれた腹部がジワジワと熱を帯びていき、腹を抉る様な痛みに膝を付き…破壊した石像の元に向かう。

…カードキー?

石像からのドロップアイテムは、カードキーらしく…周りを見渡すといつの間にか普通の美術室っぽい部屋に戻っていて、ドアの近くにスキャンする場所があった。

つーか…ザキと瀬戸は?

とりあえず、2人の姿も見えないし。ここにいる訳にも行かず、ズルズルと体を引き摺りながらドアの前まで行きカードキーをスキャンする。

っ、…あぁ、意識飛びそ。

そしてゆっくりとドアを開けると、そこには負傷した瀬戸とそれを守る様に石像を粉砕してるザキがいた。

え、なにどういう事?



「っ!! 原ァ!?」

「…やっほー。生きてたみたいで何より、じゃん…?」

「おまっ…ちょ、邪魔だっ…しね!! 瀬戸! 原、本物の原が来た!!」

「っ…おそっ、何してんの」

「まぁ、色々と…で、そっから出れ」
「ないよ」

「こいつ等をどうにかしねぇ…っと!! 開かねぇっぽいんだよ!」



ははっ、はいクソゲー。
だから、言ったじゃん。
閉じ込められるかもしれないから、中に入って来んなって。

痛む腹部を押さえながら、壁に寄り掛かって…震える腕を必死に上げて銃を構える。

はぁ…まじキッツいんだけど。


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