さよならと嗤う | ナノ
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まじ有り得ねぇんだけど、趣味が悪いとか通り越して…純粋に殺意しか湧かないんだけど。

ドアを開けた先には、壁一面に千夏の絵が貼ってあった。

で、その絵から出て来た千夏の姿をした何かと戦ってる。声も姿も、まんま千夏でクソ過ぎる。

痛む右手をも酷使しながら刺しても撃っても、次々と絵から出て来て…真っ直ぐと俺に向かってくる " ソレ " に頭がおかしくなりそうになる。



「い、たいっ…痛いよ…」

「チッ…喋んなクソがッ!!」

「一哉…ひど、いよ…」

「くっ…その声で呼んでんじゃねぇよ!!」

「わたし、だよ? なんでこんなことするの」



千夏じゃないと頭ではわかっていても、体が " ソレ " を攻撃する事を拒み…思う様に体が動かない。

あいつ、まじでしねよ。

どんだけ、千夏の事が憎い訳? つーか、なんで消えねぇんだよ。頭狙ってんじゃん、心臓だって狙った。なのになんでいなくなんねぇの、こいつ。

痛い、助けて…と俺に手を伸ばす " ソレ " の腕にナイフを突き立て抜くと同時に飛び退き、銃で更に頭を撃ち抜く。

が、ゆっくりと起き上がり…血塗れのまま再び俺へ向かってくる。

どんな地獄だよ、ふざけんな。


消えない千夏の姿をした " ソレ " に何度ナイフを突き立てたかわからない。血塗れで起き上がる " ソレ " に何度銃弾を撃ち込んだかわからない。

頭ではわかっていても、目で、耳で、俺を追い詰めてくる。

チッ、あのクソ女…絶対に殺してやるからな。まじでふざけんなよ。

…頭も心臓も効かないなら、どこだよ。どこを破壊すれば、こいつは消える訳。

近付いてくる " ソレ " の脚を撃ち抜き距離を取りつつ、必死に頭を働かせていると…突然の爆発音。

バッと後ろを向くが、何もない。音の響き的に結構…遠い? となると、花宮達が手榴弾を使った可能性?

そんな事を考えていると、ピタリと全ての " ソレ " が動きを止めたと思ったら水の様に弾けて消えた。

で、その代わりに…絵は千夏から花宮に変わり、絵からは花宮が登場。そこで、全部理解した。

…ははっ、まじで殺す。

真っ直ぐ俺に向かってくる花宮の姿をした " ソレ " に容赦なくナイフを突き立て、蹴り飛ばしてから絵に向かって銃を撃つ。

…俺の思考から相手選んでんじゃねぇよ。

よくよく考えたら、絵から出て来てんだから…絵を破壊すりゃあいい話じゃん。あぁ、もう…まじで頭が死んでる。

絵を破壊した事により花宮の姿をした " ソレ " は水の様に弾けて消えた事を確認して、全ての絵を撃ち抜いてく。白紙の額縁もぶち抜く。

もうまじで出てくんな。



(っ! 今の原か!?)
(多分、違う。ザキ右!)
(くっ…なんなんだよ、クソ!)
(花宮達も状況がよろしくないっぽいね)
(……助けに行けねぇけどな)
(むしろ、助けて欲しいくらいだよね)
(原も戻って来ねぇっ…し!)
(今は、この状況をどうにかするのが先)
(わかってるよ! でもよ…)
(アレは、千夏でも原でもないよ)
(チッ、胸糞わりぃ!!)

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