さよならと嗤う | ナノ
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暫く駄弁っていると、今吉さんに言われたのか赤司が医務室に入ってきた。

そしてわたし達に気が付くとこちらに向かって来る。



「怪我の具合はどうですか?」

「わたしはまだ掛かるかな。弘はもうほぼ治ってる」

「そうですか。それと実渕が髪を乾かしてない事を心配してましたよ」

「大丈夫大丈夫、もう大分乾いたから。ていうか、あんたも早くベッド入って怪我治した方がいいよ」

「ふっ、ありがとうございます。では、お言葉に甘えますね。それと今吉さんが、花宮さんと瀬戸さんを呼んでいました」

「チッ…わかった」



そう伝えると赤司は端のベッドに向かって行った。

えぇ、わたしも今吉さんと色々と話したいのにー。あの人、ちょっと吹っ切れたっていうか、いい人ぶってるのやめて本性出してゲスってるから、今の内に色々と打ち合わせしときたいのにー。

ま、真がいるから大丈夫だとは思うけど。それに健ちゃんもいるなら心配する事はないんだけどさぁ。この2人だと探索班を1組にしそうだからなぁ。

ていうか、じゃあここに残るのは爆睡してる弘と一哉と康次郎って事だよね。えぇ、脳筋しかいねぇじゃん。いや、世間一般的には一哉も康次郎も頭はいい方だけどさ。

んー、しかもこのメンバーだとなにも進展なくすげぇ下らない話をして終わりそう。つまり、時間が勿体無い。

あっ。



「真、ついでに高尾を呼んで来て」

「あ? あいつは、こっちに呼ぶに決まってんだろ」

「こっちに寄越せよ、そっちは健ちゃんと今吉さんがいるだろ」

「まさかの高尾の取り合いに草不可避」

「使える駒はとことん使うのが花宮と千夏だからな」

「話が終わって、忘れてなかったら伝えてやるよ」

「はい、それ絶対に伝えないやつー。仕方ないから、一哉と康次郎で我慢してやるよクソが」

「クソがは俺等の台詞なんですけどー。別に俺等は、千夏とザキを放置してここから出てもいいんだけど?」

「は? そしたら寝るからいいよ」

「クソ可愛くなくてキレそう」



だって、一哉と康次郎は作戦練るタイプじゃなくて実行するタイプじゃん。そもそも、一哉が考える事は大体ロクでもないし。まぁ、一哉は基本的にゲーム脳だからこういう状況だと、かなり役には立つんだけどね。

ま、別に一哉と康次郎に不満がある訳じゃないからいいんだけど。ただ、高尾からあの女の様子とかその他もろもろを聞きたかっただけだし。どうせ後で聞ける事だからいいや。

それよりも早く怪我が治らないんですかね。寝ずにただゴロゴロしてんのも辛いんだぞ。



「原、武器について " あの事 " も含めて詳しく話してやれ」

「ん? あぁ、おっけー」

「え、なになに」

「可能性の話って感じ?」

「何かあったら呼びに来いよ」

「千夏は、絶対に大人しくしてるんだよ」

「わかったから、そんな顔しないで健ちゃん」



いや、普通に怪我が治るまでは大人しくしてるからそんな顔しないでくれ。健ちゃんは怒ると怖いんだ、なにが怖いって康次郎以上に無表情になるからね、怖すぎる。

いや、それにしても健ちゃんは心配性だぜ。


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