さよならと嗤う | ナノ
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" 色々考えよーぜ " と言い出した弘はわたしの隣で余裕の爆睡をしている訳だが、



「で、つまりはそういう事でしょ? でも中庭に行けないから」

「多分、全部集めてからじゃないとダメなんじゃね?」

「それに開かない教室もまだかなりあるからな。やはり、順を追わないとダメなのかもしれないな」

「そもそも、脱出するにしろ " あいつ " をどうにかしなきゃ、無理だろ」

「そこなんだよなー。しかも簡単に死ななそうだし」



周りにわからない様に最低限の言葉を伏せながら、色々と思考しているが…やっぱり、考えるより行動っぽいんだよなぁ。

そもそも、わたし達はあの女が最初から怪しいって思ってたから、こういう考えが出てくるけど…他の奴等は、逆だろうし。むしろ、未だにわたしを疑ってる奴の方が多いだろうし。別にそれは構わないんだけど、そいつ等を無視して脱出が可能なのかが不安な訳ですよ。

それが可能なら、このまま脱出方法を見付けた方が早くここから脱出が出来るし。

だけど、



「間違いなく、無理だよね」

「健ちゃん、唐突に心読むのやめて」

「勝手な予想だけど、多分 " あいつ " を敵だって認識させないと脱出は無理だと思う」

「ま、五行思想って辺りでそうだよねー。最後は、俺等の心次第って事っしょ」

「…となると、やはり遠回りになるが情報は集めるしかないな」

「そもそも、こいつに信用がないのが悪い。さすがゲス女」

「ブーメラン刺さってんだよ、ゲス眉毛」



はぁ…面倒臭いなぁ。
つまりは、みんなの意思を1つにしないと脱出は出来ないって事だと思う訳で。

そうなると、まずは全員の敵が誰なのかをはっきりさせないとならない。つまり、" あの女 " の味方に付いてる奴がいたら、100%ここからは脱出は出来ない。

だから、 " あの女 " がクローンでわたし達をここに連れて来た犯人だって証拠がないと話にならない。それを提示しても、" あの女 " を信じるとか言い出すクソ野郎もいそうだけど…ま、その時はその時だよね。ていうか、そこまでいったらさすがに空気は読んで貰いたいよね。



「情報としては、やっぱり研究者のノートが1番重要だよね」

「でも肝心なところが書いてなくて毎回クソだなって思ってる。クローンの名前書けよって話」

「その内、出て来るだろ。それよりもクローンの能力の把握をしてぇんだよ」

「ゾンビを増やせる、強化出来る。人間を喰う。喰った人間をゾンビに出来る、またはゾンビ製造機にする。後は、喰った人間に成り代われる? 化けれるみたいな?」

「チーターかよ。色々盛り過ぎでまじうける。後、幻覚?もあるんじゃねーの」

「確かに、一哉マネキン事件があったからね」

「なにそのクソ間抜けな事件、キレていい?」



こうして口に出すと、ぶっちぎりで人外だよなぁ。そもそも、" 喰う " っていうのがいまいちよくわかんないんだよなぁ。

夢で見た感じだと…物理的に丸呑みされそうな感じだったけど。ゾンビ製造機にされた奴を見た感じだと、自分の意思ってよりは…無理強いされてる感じっていうか、操られてる感じだったし。

人間としての形はドロドロだったけど、形は保ってた訳だし。喰われて吐き出された? いや、強ち間違いじゃないかも。必要な部分(内面)だけ喰って、吐き出した説。で、変なもんぶち込まれてゾンビ製造機にされたとか。

ははっ…再利用とかエコですね、しね。


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