さよならと嗤う | ナノ
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そしてざわめく体育館内。

いやぁ、ごめんねぇ! なんでも似合っちゃう上に可愛くってさぁ!?

はぁ…うぜぇ。



「可愛いって辛いよね」

「は? ブスが調子乗んなよ」

「んだとクソ眉毛」

「つーか、なんでYシャツだけなんだよ。やっぱり痴女じゃねぇか」

「キャミもTシャツもなかったんですー! セーターはお揃いだから嫌なんですー!!」

「ハハッ、徹底しとるなぁ」



だって嫌なもんは嫌だし。
ていうか、今更だけどなんでわたしYシャツだけだった訳? 普段の霧崎の制服の格好なら、ちゃんと中にキャミも着てるしセーターも着てるのに、何故か下着でYシャツとかいういじめを受けていた。

よく考えたら最初から酷い扱いである。ちなみに弘がYシャツだけなのは、普段通りなので問題ない。

つまり、わたしだけおかしい。いや、そもそも部屋着でいたのに制服になってる時点でおかしいけど。



「チッ…こっちなら文句ねぇだろ」

「ぶふっ…えぇ、暑苦しい。動きにくい」

「うるせぇ痴女。さっさと着ろ、目が腐る」

「そのまま腐り落ちろ」

「後、髪を乾かしてから出て来いよブス」

「適当にタオルでいいんだよ!」



そして何故かセーターを投げ付けられて、渋々ながら着る。なんか男用はセーター何種類かあったんだってさ。なにそれ男だけ贔屓かよ、キレそう。

尚、セーター以外はお揃いの模様。

つまり、女用はYシャツが何種類かあったから…そういう感じ?

そしてぶっかぶかのセーターのボタンを留め終わり、顔を上げると何故か今吉さんが困った様な顔をして笑っていた。



「…なんや、逆効果なんちゃう?」

「…お前、思ってたよりチビなんだな」

「お前はわたしをなんだと思ってんだよ、しね」

「千夏は、顔だけは可愛いから破壊力凄いわ」

「今吉さん、顔だけ褒めるのやめてくれます? 殺しますよ」

「言ってる事が物騒過ぎてあかんわ。ワシが破壊されそうや」



どうやら、真が思っていたよりかなりぶかぶかだった様で、あざとい格好になってるらしい。クソ程、嬉しくはないが…なんか面白いからこの格好でいよ。

そして、この黒タイツが更にだめ押ししてるらしいよ。なんか今吉さんが頭抱えてて笑った。可愛くてごめんねぇ!

とりあえず、可愛く口元に手を持ってってあざとく上目使いで今吉さんを見上げて、頭を傾げてみた。

クソ気持ち悪くて笑いそう。



「んー、今吉さん…?」

「…これは騙されるわ」

「いや、今吉さんはそんなチョロくないですよね」

「誠凛のイイコちゃん達にやって来いよ」

「……ごほんっ。"…今までごめんね? 千夏の事…許してくれる?" とか?」

「ぶはっ!!」



どうやら真のツボにクリーンヒットしたらしく、珍しく爆笑している。いや、確かにわたしがこれを誠凛にやったらうける。

まぁ、絶対にやらないけど。もしくは、バカにするか煽る時にやる可能性がある程度。

しかもあいつ等は、なんだかんだで簡単に信じそうでうける。ちょっと涙を浮かべたらマジで信じそうで笑う。

そんな馬鹿話をしつつ、真と今吉さんに医務室に連れてって貰う事になりました。

髪の毛は相変わらずびしょびしょだけど、まぁタオルで拭いてるし大丈夫大丈夫。



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