さよならと嗤う | ナノ
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そして最後は研究員のノート。

白いノートの紙片(研究員)

《"○月×日
あぁ、欲しい。どうしても欲しい。あの子が欲しい。だから、頼んで頼んで頼んで…やっと貰えた遺伝子。先輩と彼女との最高傑作。僕もあの子が欲しい、だから僕が造る事にしたんだ。"》

《"○月×日
僕の可愛い子が出来た。あの子みたいに育つように一生懸命愛してあげた。だけど、やっぱりあの子には敵わない。あの子が欲しい、欲しい、欲しい。あの子に会わせてくれない先輩と彼女は邪魔だから消えて貰った。これで、僕もあの子を造れる。きっと、これで僕の子もあの子に成れる。"》

《"○月×日
どうしても人間らしさが足りない。やはり、あの子の様にはならないのか。試しに他の人間の知識を植えてみた。人間らしくはなかった気がする。だが、まだ足りない。"》

《"○月×日
僕に愛されて可愛く育った。だが、ただ可愛いだけの人形にしか見えなくなってしまった。次第に僕の心は冷めていく。あの子はこんな事は言わない、こんなにも愛に飢えている訳がない。こんなのは失敗作だ。"》


箱から2枚ずつで計4枚。
思ったより少ないんだよなぁ。しかも肝心なところがわからないのが、また腹立たしい。

もう名前書けよ。
自分が造ったクローンだろ。



「確実に真相を知るには、やはり研究員のノートが重要ですね」

「ま、黒と赤はヒント程度のつもりなんだろ。途中で、赤が余計な事をしてるが」

「つまりや、赤は余り信用せぇへん方がよさそうやな。クローンが撹乱目的でメモを残す可能性がある訳やし」

「そもそも、あいつのメモ意味わかんないの多いけどね。頭が悪いの露見してて笑う。怪物って言ったり、化物って言ったり…統一しろって思った」

「それと水晶玉ですね。青と白は手に入れたので…あとは、黄・赤・黒ですかね」



水晶玉の話になったので、ポケットから青い水晶玉を取り出して赤司に渡す。

正直、わたしが持ってると危ない気がするし。万が一、割っちゃったり無くしたりしたら困るから、赤司達が持ってる方がいいと思う。3人の中で探索に行かない人が、持ってればいい話だし。

そもそも、脱出に必要なアイテムな気はするけど…集めるだけでいいのかが、少し不安。普通に考えたら、どっかにはめるとか…色々あるじゃん? ま、今は集める事に集中するべきだけど。使用方法は、集め終わってからでも問題ないだろうし。



「で、水晶玉はどこにあったんです? 西側なのは、わかりますけど」

「さすが、千夏。ええとこに気付くやん?」

「俺と赤司も聞いたけどな」

「あんな、まさかのゾンビが持っててん」

「は?」

「なんか理科室ん中で1体でふらふらしとるゾンビがおったんやけど、そいつの胸に埋め込まれててん」



え、なにそれキモい。
しかも、かなり固くて強かったらしい。いや、でも…そいつを無傷で倒したんですよね? あれ、やっぱり今吉さんが黒幕なんじゃね?

だって、武器ハサミ1本だけだよ。ほぼ、素手じゃん。

とか思ってたら、理科室の隣にある科学室で高尾がロープを見付けたらしく…それを使って吊し上げにしてみんなでフルボッコにしたとの事…あいつ、やっぱり黒幕じゃね? ちなみにドロップアイテムは鍵とさっきの水晶玉らしい。

ちなみにわたしがゲットした赤い湧きゾンビからドロップした鍵は、そのロープがあった科学室に使ったとの事。で、赤いメモも小さい鍵も科学室にあったらしいよ。


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