さよならと嗤う | ナノ
02*(1/4)


い、痛い…クソ痛いんだけど。
余りの痛さに目を開けると、体育館特有の天井が目に入った。

…痛みで気失ったのに、痛みで目を覚ますとかなんなの…マジでキレそう。



「あ、起きた? 腕どう?」

「…痛くてキレそう」

「花宮ー! 千夏、起きたよー!!」

「一哉しね」

「えぇ、なんで!?」

「…絶対に許さない」

「ちょ、そんな真っ青な顔で言わないで普通に怖いんだけど」



マジギレ寸前のわたしを若干引き気味で見ている一哉を無視して、痛む左腕を押さえながらゆっくり起き上がる。

どうやら真が丁寧に手当てをしてくれたらしく、腕には綺麗に包帯が巻かれていた。

だけど、普通に制服が血塗れで酷い。しかも、左側の袖ないからね。なんなの? なんでわたしだけ修羅場潜ってきた感じになってんの。

あぁ…もう、頭も痛いし。
本当になんでこんな場所にいる訳? マジで意味わかんないんだけど。しかもこんな怪我までするし。



「ふはっ、生きてたか」

「…残念ながらね」

「んじゃ、千夏も起きた事だし行く?」

「は?」

「千夏が寝てる間に色々あって〜、まぁ俺等が探索に行くって事になったんだよね」

「それで、千夏が起きたら行くって話になってたんだよ」

「だから、千夏は大人しく待ってろよ」



…は? なに言ってんの?
わたしが寝てたというか、気絶してる間に話し合いをして、探索をする事になったのはわかるけど。

は? 大人しく待ってろよ?
なに言っちゃってんの? ていうか、どんな嫌がらせ?

正直、腕はかなり痛いし、動きたくないのが素直な気持ちだ。だけど、それは絶対に嫌だ。



「は? わたしも行くし」

「怪我してんだからやめとけって…」

「ていうか、怪我の痛みよりもこんな場所に1人で残された方が嫌なんだけど」

「だよねー」

「ふはっ、足手まといになりに来んのか?」

「…は? 別に足手纏いになったら置いてっていいし。てか、そこまで言われるなら、わたし1人で探索するからいい」



もうね、本当にね、ムカつく。
確かに、怪我してるし? 足手纏いなのは否定しませんけど、ここに居るくらいならゾンビに追われて死んだ方がマシ。

さっきから、チラチラ好奇と憎しみの視線を送ってくる奴等に虫酸が走る。

可哀想とか、自業自得だとか、別にお前等には関係ないだろうが。いちいち、そんな事で騒がないでくんない?

だから嫌いなんだよ。
わたしの事が嫌いで憎いくせに、偽善者ぶって心配そうな面なんかしてさ。

こんなところ、居たくない。


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