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・・・あぁ、もう泣きそうだ。

わたしが悪いのは明らかなんだけど、あそこまで言い合いをしといてどんな顔して謝ればいいのかわからない。

男友達と康くんどっちが大事と言われたら、ハッキリと康くんって言えるのになんであんなにムキになってしまったのか…。



「なまえちゃーん、やっほーい」

「おい、彼女の事は無視か」

「いや、俺が用あんのなまえちゃんだし? ともだちは、お呼びでない」

「なんか腹立った! 死ね!」

「え、原だけに〜?」

「ホントムカつく! てか、どうせ古橋の事でしょ? 私いてもいいじゃん」



フーセンガムを膨らませながらわたしの頭をポンポンと撫でる原くんに、ギャーギャーと騒がしいともだち。ちなみにこの2人は付き合ってます。

そして結果的にともだちは、マジでお呼びでないから〜とわたしの手を引く原くん。

ていうか、康くんは原くんにはなにも言わないんだよねぇ。いや、触るなとか馴れ馴れしいとか散々言われてるのに原くんが気にしてないだけな気もするけど。


そして着いたのは、お馴染みの図書室じゃなくて中庭だった。はい、座って〜と原くんに言われてとりあえず言われた通りに座ったんだけど…。



「えと、なんの用かな?」

「そんな警戒しなくても襲ったりしないから大丈夫だって〜。てか、わかってるっしょ?」

「こ、康くんの事だよね?」

「そそっ。まぁ、俺は束縛とかしないし? されるのも嫌いだからなんとでも言えるけどさぁ〜」

「うん、わたしが悪いのはわかってる」

「あり? いや、そうじゃなくてさ。嫌なら嫌だって言わなきゃダメだよって言いたかった訳よ」



曖昧にしないで束縛が嫌なら嫌で古橋に言わなきゃ、あいつはそういうのよくわかってないし。と付け加えるとわたしにガムを差し出す。

とりあえず、ガムを受け取り口に放り込むと涙が出た。クールミントのせいなのか、恋愛に疎い康くんに説明もなしにあんな事を言ってしまった後悔からなのか、よくわからないけど。



「あぁ、やっぱり泣くのね」

「うぅっ…わたし、康くんに嫌われたかも知れない…」

「いや、それはないから安心していいよ。あいつ、俺はどうしたらいいんだっ…て珍しく感情剥き出しで騒いでたから」

「で、でもっ…今更、なんて謝ればいいかわからないよ」

「ん〜? 康くんが1番好きだよとでも言えばいいんじゃない? あいつ、あぁ見えて単純だし」



そんな思い詰めなくても大丈夫だって〜とわたしの頭をわしゃわしゃと撫でる原くんにまた涙が出てくる。

そして古橋なら図書室で花宮に泣き付いてるだろうから行ってやってと言われて、涙を拭って原くんにお礼を言ってから図書室に向かった。



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